大王女様と山猫小僧6 (ページ26)

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こちらを見てニヤニヤしているオーサーに精一杯の睨みを効かせると、オーサーは右手でナイフを握り直すとアッシュに一気に突進した

体勢を変えようとしたアッシュが線路の隙間で足を踏み外した
後ろに倒れるアッシュに左手を押さえ込んでそのままナイフを振り下ろしている

『アッシュ!!!』

大きな声で叫べば、アッシュは右手でオーサーのナイフを止めた
ナイフの刃先がアッシュの目の前にゆっくりとおりていくと、アッシュはそのままブリッジをしてオーサーの腹を蹴り飛ばした

『…アッシュ』

「お、おい！」

ホッとしていると、シンがふらついた体を支えてくれた
その時、「アーーーーッシュ！」とどこからかオックンの声が聞こえてきた

『オックン!? どこ!?』

「おい、動くなよ！」

群衆の中からオックンを探すことは困難で見回すだけでも大変な時、ピチャッと頬に何か当たった
雨かなと思って拭ってみると血だった

えっ、と上を見上げると脇腹から血を流しているアッシュがいた

『アッシュ!!』

脇腹から血を流しているアッシュを見てオーサーが嬉しそうに笑っている
血のついたナイフを舐めた後、相手の体勢が崩れるのを待ち構えていた

『あの…クソ野郎!!』

殺意が込み上がってきて、殴り込みにでもいってやろうかと思いながらその場に立ち止まる
これはアッシュとオーサーの喧嘩だ。部外者が乗り込んでいいはずがない

オーサーがアッシュにトドメを刺そうと走り、アッシュも迎え撃った

オーサーのナイフをギリギリで交わしたアッシュは、そのままオーサーの腹を突き刺した後ナイフを引き抜き、オーサーの首筋にざっくりと突き刺した

「オォォオーーーーーーッ」

大きな叫びとともにオーサーの首を掻っ切ったアッシュ
派手に飛び散るオーサーの血が朝焼けの空に溶け込んでいく

また、目の前で人が死ぬところを見た

オーサーがゆっくりと落ちてくると、そのまま血を流して絶命していた
わっと盛り上がる中、私は無言でアッシュを見上げた

アッシュは、静かにナイフを持っている手をあげ、それを見たストリート・ギャングたちは歓声を上げた

「日本へ帰れ!!」

『！』

「俺は……お前たちに見ていられたくないんだ!!」

『………アッ、シュ…』