47-3 ページ25
「そんな顔をするな。俺は死を恐れたことはない
だが死にたいと思ったこともない」
言い切ったアッシュに私とオックンはホッとした
「それを聞いて安心した。人間は運命を変えることができる
ヒョウにない知恵を持って…そしてキミは、ヒョウじゃない。そうだろ？」
「ああ、そうだな」
私はあの時、何も言えなかった
ただ口を開けることができなかったんだ
夜中、よくアッシュが目を覚ましているのを知ってた
練習と夜食で起き上がることがあったし、オックンとアッシュが寝ている部屋の前をよく通っていた
アッシュのうなされる声と飛び起きるような声が聞こえてきたり、中に入ってアッシュを宥めてあげることなんてできず、気づかないフリをし続けていた
それがすごく辛かった
どんな悪夢がアッシュを苛むのか
ショーターを手にかけてしまったことか
それとも、私やオックンの知らない幼い頃の酷い記憶か
冷酷とも思えるほどのリーダーシップも、何者をも恐れない精神力も全部、全部
危ういアッシュの魂を覆い隠すためのものなのか
だとしたら、それはひどく辛くて残酷だ
(やだ…やだ…!! アッシュ、死なないで…!!!)
「…！」
シンの腰に抱きつく力を強めた
絶対に死なないでほしい、友達であり、初恋であり、大切な人だからこそ…助けたい
(アッシュ……!!!)
風で目を開けることができないでいると、「なあ！」と大声がかけられた
私が少し顔を上げると、「もう少しで着くぞ!!!」とシンが私に教えてくれた
少しだけ顔を上げると、コニーアイランドが見えてきた
『シン！』
「ん!?」
『あそこ!! 線路の上!!!』
「!!! いたぞ！あそこだ！」
近くまで行くとバイクを飛び降りて足をもたつかせながら近くまで走った
息が上がってアッシュに声をかけることができずに上を見ていると、「あの2人は!?」と黒人の男の子が駆け寄ってきた
「上だ。アッシュが右肩をやられてる」
「まずいな。長引くと不利だぞ」
『…アッシュ…』
オーサーはナイフを弄び、両手でいったりきたりさせて時間稼ぎをしている
卑怯だ！卑怯すぎる!!
肩で息をしているアッシュをニヤニヤと見つめている上に、私に気づいたらしい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年8月24日 18時
