大王女様と山猫小僧6 (ページ23)

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47話死の時間ページ23

アッシュside

最後に、本当に最後に瑞姫の顔を見ようとリビングに行くといなかった
部屋に戻ったのかと見てみると、部屋にもいなかった
それどころか荷物が全てなくなっていた

…出て行ったのか

アレックスとボーンズ、コングに指示を出してアパートを出るためにエントランスに向かうと、外には瑞姫がいた

「瑞姫…」

黒いスーツを着た男2人に荷物を預けた瑞姫は、黒塗りのバンに乗り込んでいた
俺がエントランスを出るのと同時に車はそのまま走り出す

「…瑞姫」

きっとあいつらは、瑞姫の知り合いなんだろう
日本で世話になったという日本政府の奴等だと思うが…もしそうじゃなかったら…

(いや、よそう…あいつは自分の意思で出て行ったんだ)

俺は瑞姫を乗せた車と反対に歩き始めた

瑞姫side

「では、我々は部屋に戻ります。何かあれば連絡を」

『はい、ありがとうございます』

用意されたホテルの部屋に入り、スーツケースをそのままにベッドに飛び込んだ
オックンにはちゃんと書き置きしてきたし、きっと大丈夫だろう

薄れている意識を浮上させるようにオックンからの電話に気づき、『はい？』と出ると《アッシュはどこにいるか知ってるかい!?》と聞いてきた

『いや、知らないけど…』

《アッシュ…オーサーと最後の決着をするって》

『…!!!』

オックンの口から聞いた言葉は耳を疑った
なにかあるとは思ってた。あんなに思い詰めた顔をしていたから絶対何かあるとは思ってた…だけど、オーサーと戦う？

『オックン、場所は!?』

《イ、イースト・ブロードウェイ駅だって…》

『わかった！』

電話を切った後、鵜飼さんたちになにも言わずに部屋を飛び出した
急いでホテルからイースト・ブロードウェイ駅に向かうと、「あ、あんた！」と駅から飛び出してきたのはシンだった

『シン、だよね!? アッシュは!?』

「オーサーが電車を走らせて…電車に乗り込んでいっちまったんだ…行き先はコニーアイランドだ」

『コニーアイランド…』

「あんた、なんでここに？」

『オーサーと戦うって聞いて…知ってたら送り出さなかったけど…』

「……………」

「シン、急げ!!」

「あぁ！こい！」

『え、ちょ!?』