大王女様と山猫小僧5 (ページ7)

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私の後ろにいるみんながガタガタと震えている
だからなぜ私の後ろに隠れる

そんなみんなとは全く反対で、むくっと顔を上げたアッシュの顔は激しくすこぶる機嫌が悪く、近寄り難い雰囲気であり、これは誰も起こしたくないのがわかったと心の底から理解した

「見ろよ、あの眉間のシワ」

「怒るぞ怒るぞ」

「お、おっかね〜…」

『いやだから、なぜ私の後ろに隠れる』

オックンとアッシュを見守るみんなが私の後ろに付いている
これ、いつまで続くの？

「2時間経ったら起こせって言ったろ？」

「…2時間？」

「そうだよ、そう言ったろ？」

「…覚えてねえ」

『ないんかい』

頭を押さえて起き上がったアッシュはのそのそとベッドから降りると、私に気づいたのか「やることは？」と聞いてきた

『うん、こってりしぼられた』

「？…シャワー浴びてくる」

『ごゆっくり〜』

静かに部屋を出て行くアッシュを見送ると、後ろにいたみんなは「なんで？」と顔を見合わせている
そりゃ不機嫌なあの顔で怒らないってとこが怖いもんね。わかるよ、カルマの悪魔のツノと磯貝の満面の笑みの怒りフルスイングの時を掛け合わせたみたいな恐怖だった

「おい！石けんはどうした!? シャンプーもねぇぞ！」

「ひぃっ！」

「「はは、ははいっ！」」

『かわいそう…』

慌てながら用意を始めたみんなにオックンが「僕が行くよ」とシャンプーのボトルを手にして出て行った
うん、オックンなら大丈夫だろう

オックンが戻ってくると、みんなはオックンをじっと見た後頷いた
どうやら、これからのアッシュの世話係として任命したらしい。ただの黙認でしょそれ

しばらくしてソファに座って雑誌を読んでいたら、テーブルの上に携帯3台とタブレット1台が置かれた
ここから退いた方が良さそうなので立ち上がって壁際に向かい、窓の外をぼーっと見た

足音が聞こえるとみんなが出入り口の方に目を向けているのに対し、私は窓から見える人の行き交う姿をぼーっと見る

「白樺さん、何見てるの？」

『人間観察』

日本語で答えると、アッシュがソファに座っているのが見えた
タブレットを手に取り、データを読んでいる。おい、スマホ1台貸してよ

ただ、その姿がなぜかあの時のカルマに似て見えた