大王女様と山猫小僧5 (ページ45)

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43話穏やかの時間ページ45

ボーンズに答えているとアレックスが顔をアッシュに向けて「ロウアー・イーストサイドはもうバラバラだ」と会話を始めた

ボーンズも話に加わり、私はその場に立ち止まって静かにその会話に耳を傾けた

「奴ら、完全にびびっちまったぜ」

「うるさいな。テレビを消せ」

『えー、見てたのにー』

「またにしろ」

『(ﾌﾞｰ』

チャンネルに手をつけて電源ボタンを押してテレビを消すと、会話の内容がはっきりと聞こえてくる

「次の標的はこいつらだ。マンハッタンを出ていけばよし。逆らうようなら、殺せ」

ｶﾞﾁｬｯ

『あ…オックン』

「なんだ？」

リビングに入ってきたオックンはその場で固まってしまうと、「あ…ごめん。あとにするよ」と言って部屋に戻っていく

『あー待って待って！私もいく！』

「え？あ、うん」

部屋に戻っていくオックンに慌てて追いかけるように部屋の中に滑り込むと、『ふぅ…』と息を吐いた
窓辺に立つと、ブラインドを指で開けて外を見る

(みんな、ちゃんと帰れたかな…)

E組のみんながいないかどうか見てみたけど、大通りは人が多いしよく見えない。しかもここは12階だし、地上の人間を見つけるには双眼鏡ぐらいが必要だろう

『ねぇ、オックンはさっきから何してたの？』

「あぁ…写真を撮ってるんだよ。この隣のビルは、ゴルツィネのオフィスなんだって」

『え、まじで？灯台下暗しってこと…？』

「そうだね」

ブラインドで隣のビルを見つめていると、「写真、できたのか？」とアッシュが部屋に入ってきた

「あ、うん」

「どれ。よくできてるじゃないか。さすが、カメラマンの助手だな」

「ちぇっ、からかうなよ」

『うーーーん…でもよく見たら怪しげな親父が入っていってる…』

「瑞姫は何してるんだ？」

「僕も流石にわからないかな」

カメラのレンズ越しにオフィスを覗き込むも、全然知らない親父が入っていく
誰だあの親父はというぐらいだね

「だけどこんなすごい部屋、よく借りられたね？
しかもゴルツィネのオフィスのそばなんて」

「運が良かったのさ」

『あ、はぐらかした』

本棚の本に手を伸ばしてページをめくったアッシュに日本語で突っ込む