大王女様と山猫小僧5 (ページ35)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:10,092 hit

42-2 ページ35

軽くあしらわれたオックンは、「なんなんだよ、その立ち直りの早さは！」と捲し立てた

「昨夜泣きべそかいてたのは誰なんだ！」

「お願いだよ、お兄さま。僕とっても忙しいんだ、怒鳴るのやめてくれない？」

その一言でオックンはプンスカ怒ってキッチンへ向かい、私は『ははは…』と苦笑いしながらその後ろ姿を見送った

アッシュはというと、マウスをカチカチとクリックして不敵な笑いを浮かべていた
画面を盗み見ると、その金額に驚き『うっそーーー!?』という鳩もびっくりするほどの声量で大声を上げた

『年下って嫌いだ…イケメンって嫌いだ…ハイスペック超絶スーパー人間って嫌いだ…』

アッシュがカシミアの服を着ているのを見ながら嘆く
なんなんだよこのイケメンめ…ハイスペック超人め…

「なんだよ、さっきから」

『うるさい！』

「情緒不安定だな。生理か？」

『デリカシーって言葉知ってる???』

コートを着たアッシュにちょっと怒りながら言うと「冗談だよ」と言って銀縁の眼鏡をかけた
どこからどう見ても、おぼっちゃまである

ーーーーー
ーーー
ー

59丁目のマンション、12階の最上階のひと部屋に私はいる
海外なのでゲストルームが何個もあるのはよくわかる。だけどね、だけどね…

『一括で買ったってどういうこと!!?』

「すごいなあ！」

『オックン、そこじゃない。もうこれはレベルおかしいの。ドロボーしてる時点でおかしいの、気づくべきなの』

広い部屋を見回して「広ーい！きれーい！」とか言って楽しそうにするオックンに『NOoooooo!!!』と叫びながら四つん這いになった

『ここ絶対高いじゃん！高いよ！わかるよ！高級アパートじゃん！知ってるもん!!』

《少なく見積もっても、800万はしますね》

『8億じゃない!!? おかしいんじゃないの!!?』

テーブルをバンッと叩きながらスマホに『59丁目のアパート、12階です』というメールを送った
さあ、もうこいよ。柳沢、今なら無双できるからさ！

「なんか、瑞姫…」

「荒れてるな〜」

「無理もないだろ…いきなり、ボロアジトからこんな高級アパートだぜ？」

『バレーボーラーの年収舐めるなよー!!?』

「…どっちかっていうと、値段のせいだよな」

「「うん」」