大王女様と山猫小僧5 (ページ30)

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結局、腕の拘束は剥ぎ取られて今は大人しく手当てを受けています
流石に胸元の手当てをしようとしたのを全力で止めて腕についた傷の手当てだけをしてくれればいいと何度も頼み込んだ

そして今、自分でペタペタと手当てをしている

「そういえば、さっき誰に電話してたんだ？」

『んー？昔お世話になった人。欲しいものを一式こっちに送ってくださいって言ったんだけど、それがいつ届くのかは知らないけどね』

「ふーん」

消毒をしたあと、ぽんぽんと手当てを終えて服を着た
うん、やっと落ち着ける

パタンと救急箱の蓋を閉じると『アッシュ、これどこに』とアッシュに振り向くと啄むようなキスをしてきた

軽いキスが何度か続いた後、かぶりつくようなキスもされてそのまま食べられるのではと思いながら受け入れていると、「口、開けて」と言われる

すでにキャパオーバーになりそうな自分が素直に口を開けたことにも驚きだけど、アッシュが後頭部を押さえて噛み付くようなキスが始まる

絡め取られた舌がぐちゃぐちゃになりながら、頭がぼーっとしてきたのを感じてドンドンとアッシュを叩くけど反応なし。というよりも、キスをやめてくれない

『んっ…い、かげん…にっ』

「んっ」

『んんっ』

ちょっと開けただけでまた舌が大きく侵入してくる
貪るようにキスをするアッシュにいい加減にして欲しいと思いながらも、続けて欲しいと矛盾している考えを持つ自分が恥ずかしい上に、どうにかしてほしい気持ちにもなる

やっと離れたアッシュは、「あーあ」と項垂れて私の胸に飛び込んでくる
ぐりぐりと額を押し当ててくる猫みたいで『な、に？』とまだ息ができていない声で聞くと、翡翠の瞳が子どものように私を見ている

「幸せだなって思ってさ」

『！』

「幸せだよ」

ギュッと後頭部を押さえて抱きしめるアッシュに、応えるように抱きしめ返す
そういえば、オックン。サンドイッチ作るの長くないかな？

『ちょっとトイレ行ってくる』

「はいはい」

すんなりと離したアッシュから離れてキッチンに向かうと、「あ、白樺さん」と皿にサンドイッチを盛り付けているオックンがいた

『…オックン、ちなみになんのサンドイッチ？』

「豆腐サンドイッチさ！」

(恐ろしく危険な食べ物である…)