大王女様と山猫小僧5 (ページ26)

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41話涙の時間ページ26

『…………』

「白樺さん？」

『んー…喉乾いちゃった！オックン、アッシュ、コーヒー飲む？』

「え？あ、あぁ…」

「僕、手伝うよ」

『ありがとー！』

「…………」

キッチンに入り、やかんに水を入れてコンロに火をかけると、マグカップにコーヒーの素をスプーンでひとすくいして入れておく

ここ最近のアッシュたちとの行動を振り返る

…正直、戸惑っていることは事実だ

血と硝煙の匂いまみれたアッシュは容赦無く敵を殺すけど、カボチャ嫌いをからかわれて本気で拗ねてるアッシュと…

一体どっちが本当のアッシュなのか、わからない時がある

コポポと湧いた湯をマグカップに注いでスプーンでかき混ぜる
オックンが自分のコーヒーに角砂糖を入れているのに対し、そのままブラックで飲む

「？」

『……………あーあ、わかんないや』

コクンと飲み込んだ熱めのコーヒーとアッシュのコーヒーを持って部屋に向かうと、窓辺で外を見つめているアッシュがいた

『アッシュ』

「あぁ、サンキュー」

ベッドに腰掛けてコーヒーを飲み、ぼーっとする

子どもっぽいアッシュと大人っぽいアッシュ
その２つはどちらともに矛盾することなくアッシュの中に存在するのか

難しい問題のように出題された気分になり、頭を悩ませるばかりで私はうーんと唸るばかりだった

「なんだよ？さっきから俺の顔ばっか見て」

『？』

アッシュがぼーっとアッシュを見ていたのに気づいたのか、自分を見ていたことを聞いてみるとオックンは「あ、いや…」と俯いた

「まつげまで金髪なんだなぁって」

「下もだぜ。見るか？」

『(ﾌﾞｯ』

ニヤニヤしながら言ったアッシュに吹いたし、「ホント!? 見せて！」と無邪気に顔を輝かせたオックンにも吹いた

ドン引きして後ずさるアッシュを見て、「冗談だってば」と言う。自分から言っておいてドン引きするなんて失礼だぞ、アッシュ

「…変な奴。そばに寄んな」

(自分が言ったんでしょ)

ズズズ…とコーヒーを飲みながら心の中でアッシュに突っ込んだ
オックンもベッドの上に座ってコーヒーを飲んでいる

ちらりとアッシュを盗み見ると、オックンを見ながら体育座りをしている

こんなに身近にいるのに、アッシュがますます遠いところへ行ってしまいそうだ