大王女様と山猫小僧5 (ページ20)

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『…………でもさ、言われちゃったんだよね』

「「？」」

『先生に…最後のアドバイスとして』

潰れた缶をテーブルに置き、新しいお茶に手を伸ばした
カシュッとプルタブが音を立てる

『私たちはこの先の人生で…強大な社会の流れに邪魔をされて、望んだ結果が出せないことが必ずあることを』

「…………」

「………」

『その時、社会に対して原因を求めてはいけないこと、社会を否定してはいけないこと。それは、率直に言って時間の無駄だって…先生が体験してきたことを、命をかけて教えてくれた』

先生が命をかけて作り出したあの暗殺教室は、私にとって最高の学びであり、帰るべき場所であり、思い出すべき最高の思い出だった

殺せんせーがあのE組に来て2週間ぐらい経った頃だった
たった5秒間で超絶的スピードを見せつけられた時、私たちE組は恐ろしい難題を突きつけられたとあの時初めて気づいたのだ

「この先生を、殺さなくちゃならないのか…」ということを

『そうやって、理不尽に苛まれた時は「世の中そういうもんだ」って悔しい気持ちをなんとかやり過ごせって言われた
それから、やり過ごした後で考えることを…社会の激流が自分を翻弄するのなら、その中で自分はどうやって泳いでいくべきかを
先生は教えてくれたよ。そのやり方を、あのクラス(E組)で、あの学び舎(暗殺教室)で』

あの1年間で、本当に殺せんせーからいろんなものを学んだ
自分たちの資材の大切さを、自分たちの可能性を、そして…命という大切なものを

『いつも正面から立ち向かわなくていい、避難しても隠れてもいい、反則でなければ奇襲もしていい、常識はずれの武器を使ってもいい
殺る気を持って、焦らず腐らず、試行錯誤を繰り返せば…いつか必ず素晴らしい結果がついてくるって…
私たち全員、それができる一流の暗殺者(アサシン)だと』

チャプンとお茶が揺れると、私は目をゆっくりと閉じた
いつも思い出すのは、銃とナイフと先生のこと

いつだって、私たちの周りには、銃とナイフと先生がいた

殺せんせーは、「E組の制度は間違ってるから変えさせよう」とか、そういうことは一度も言わなかったしそういうことを気にする素振りもなかった

「理不尽なことが世の中にあるのは当たり前」…と、そう言っていた