大王女様と山猫小僧5 (ページ19)

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『中学3年の時に会ったんだ…友達のお姉さんの元婚約者でさ。危険な研究をしてたんだけど、その研究は危険だと判断されて打ち切りになったんだ
…今でこそああやって車椅子で移動してるけど、一人では何もできない体になってたんだってさ…今まで会ってなかったからそうなのかは知らないけどさ』

お茶を飲みながら言うと「そうなんだ…」とオックンが柳沢の顔を思い出しているように宙を見ている

『あいつが研究していたものはエネルギー利用も排気量も制御ができないと判断されて、実用に値しないと烙印を押されたらしいんだけどね
あいつは私の友達の家族を苦しめ、多くの人の人生を狂わせた…』

「……瑞姫」

ベコッと缶を握りつぶす
今でも覚えてる。あいつの歪んだあの笑顔や腹の立つ声

ー3年前ー

「ターゲットと生徒が一緒にいれば、こうなるのは当然の答えだ」

2代目の死神に狙われた私たちを身を挺して守ってくれた殺せんせーを救けるすべもなくただ守られるばかりだった私たちに柳沢が嘲笑いながら言った

「不正解だったんだよ。今夜校舎(ここ)に入ってきたお前らの選択はな」

…ずっと、気づいてたんだ

死神に誘われるままビッチ先生を助けに行ったあの日から

ううん

もっとその前から

気づいてたけど…目を逸らしてたんだ

そんなことないって

「どんな気分だ!!? だ〜い好きな先生の足手纏いになって絶望する生徒を見るのは!! わかったか、お前の最大の弱点はな……」

殺せんせーの最大の弱点、それは

私たち

「なわきゃないでしょう!!」

『！』

「正解か不正解かなど問題じゃない!! 彼らは命懸けで私を救おうとし!! 恐ろしい強敵を倒してまで校舎(ここ)に会いに来てくれた!!
その過程が!! その心が教師にとって最も嬉しい贈り物だ!!

弱点でも足手纏いでもない!! 生徒です!! 全員が……私の誇れる生徒たちです!!」

1年間、先生の下で学び続けた、殺し続けた
かけがえのない絆を先生は命を張って言ってくれた

だからこそ、許せなかった

『私は…私の、私たちの大好きな先生のことを嘲笑って踏みにじろうとしたあいつだけは許さないと誓った…たとえ、それが罪になると言われても…許すことができない』