元殺し屋はヒーローになる20 (ページ48)

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149話憧れの彼ページ48

青子はいつも俺を助けてくれた。白ブタマービンに近寄られて殴られそうになったあの時、俺を助けてくれたのは青子だった
いつだってそうだった。俺が男娼として店に呼び出されないように俺の時間を青子はブラックマネーで買い取ってくれた

正当な金じゃないことに悪魔みたいな顔して笑ってたけど、それでも嬉しかった
青子に、俺の存在を知ってもらえたようで、理解してもらえたようで嬉しかった

だから、俺はいつか恩返しができたらいいなと思ってる

「…………なぁ、デク」

「？」

「頑張ろうぜ、お互いに…憧れている相手のために」

「…うん！」

俺の大好きな人は、いつだって前を向いていて欲しいと思うから
だから俺は、自分ができる最大限で青子を応援するんだ

だけど俺は知らなかった

これから起こる青子への不幸と、隠された青子の全貌も…そして

青子の、秘められた記憶のことも

青子side

『……………ん？』

なんか背中がむず痒いような気分がして振り返ってみるも、なにもなかった
気分が悪いというものでもなく、かといっていいのかと聞かれると首を捻るだろう

(なんだったんだろ…)

肩を少しだけ揉んだあと、自分のインナーをパンパンと叩いて身なりを整えて結わえていた髪の毛のゴムを取り外して、下の方で一つにしてまとめた

「おい、早く来いよ」

『あぁ、うん』

早くしろよとでも言いたげな表情で促してくるので、素直にその後を追いかけると「なんで俺が…」などとぶつぶつ文句を言い始めている

こっちとしては、キミが運び屋なんかしなきゃこんなことにはならなかったんだぞと言ってやりたいけど、こんなとこで言い合いを始めても意味がないし、アッシュも緑谷も風邪を引いてしまうかもしれないので、その言葉は飲み込んでおいた

「あんた、金はあるのか？」

『はした金ならいくらでもあるよ』

「ケッ…金持ちかよ」

『全部ブラックマネーだけどね』

「…え？」

『悪〜い奴らから巻き上げたブラックマネーって言ったらわかる？』

「!!?」

ポカーンと大きな口を開けて目を見開いて私を見ている彼に『いいね〜』と笑う
彼はハッとすると「はあ!? そんなことしていいのかよ、ヒーローが！」と反論してくるのに振り返って言ってやる

『いーんだよ、ヒーローだから』

「〜ッ職権濫用!!」

『なんとでも言いな〜』