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アッシュside
お互い、青子に憧れを持っていた
デクはすごく青子に信頼されているのが、一眼で分かった
地下鉄でのやりとりや、ここまで逃げる時の息の合い方に連携の取り方、お互いに信頼していないとできない芸当を2人はやってみせた
青子はすごい。でも、デクもすごかった
純粋に人を助けたいと思っている。青子と同じだ。お人好しで善良で…優しくて強い、ヒーロー志望だ
「…いいな、デクは」
「？」
「無条件で青子の隣を立てる」
「アッシュくん…」
「俺は男娼で人殺しだ…青子みたいにキラキラした人間には…絶対になれない」
「…………」
手指が冷たくなっていく気がしてならなかった。アメリカで青子に出会ったあの日から、俺はずっと青子の隣を歩いていた。だけどそれは、青子が俺の隣に立っていてくれたからで、俺は青子が照らしている光の中に立たせてもらっていただけだった
「……………青子さんはね、暗闇の中を歩き続けて彷徨い続けてるんだ」
「え？」
「…幼い頃から真っ黒なものに支配されてきた彼女は…今でも心から笑えてないんだ」
「…どういうこと？」
「僕は断片的に彼女の過去を彼女の口から教えてもらったんだ。間接的にだけど知る機会もあった
僕は、ヒーローとして彼女を助けに行ったのに…それなのに、彼女に1番最もひどい現実を残酷という形で見せてしまった」
“お前達のせいでまた死ぬぞ！これが望みなのか!? 壊理!!! 破無!!!”
“望んでない…！”
デクは何かを思い出すように目を伏せると、力強く前を向いた
ザアッと優しい風が吹き抜けると、ふわふわとデクの髪の毛を揺らし始める
「僕は、青子さんを救けたい。いつだって僕の心を明るく照らしてくれた、いつだって僕を助けてくれた…
僕だけじゃない。轟くんもかっちゃんも、麗日さんやヒーロー科の全員が青子さんに助けてもらった…
いつだって彼女は、僕たちのヒーローだった」
「………………」
「そんな彼女が、自分の身を犠牲にしてまで、守りたい女の子を救おうとした…
僕じゃ力不足だった…僕じゃ、彼女の心を照らすことができなかった」
デクはグッと拳を握ると、辛そうに悔しそうに顔を歪めていた
俺だってそうだ。俺だって悔しくてたまらない
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年8月5日 17時
