元殺し屋はヒーローになる20 (ページ31)

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負圧さえ感じる土下座に感激している少年だが、周りの目が気になり始める
アッシュも流石に注目を浴びるのが嫌でパーカーのフードをかぶってなんとか顔を見られないようにしている

「っまぁ、疑いが晴れてよかったよ。なんてゆーの、ヒーローだって間違いのひとつやふたつしちゃうこともあるっしょ」

『…だとしたら、宝石のケースどこにあるんだろ…』

(おいおい、どーなってんだよ、ケースの中身違うじゃん！…宝石じゃねーのかよ
もしかしてあの時…取り違えたー……！)

「なあ、青子。ケース、見つからなかったらどうなるんだ？」

『うーん…結構重い罪になるんだよね。運び屋ってだけでも刑務所に送り込まれるし』

(マジかよー!?)

口元に手を当てて考える。どこでケースが入れ違いになったんだろう
あの子の慌てぶりからしてきっとどこかで取り違えたのかもしれない。私が見た中でも彼がケースを取り落としたことや取り違えたことなんてないだろうし…

『とりあえず、焦凍に連絡して…』

「じゃ、じゃあ、時間ないから俺はこれで」

「汗すごいよ？大丈夫？」

ガクガクと足早に歩き出した彼に緑谷が心配気味に追いかけていく
それを見て私も足早に追いかけ、スマホの電話アプリから焦凍の番号をタップする

《もしもし、青子？》

『あ、焦凍？ごめん、宝石のケース、取り違えたみたいで…仲間が持ってたの違うものだった』

《え!? じゃあ、どこに…》

『とりあえず、爆豪も連れて一緒に』

地下鉄の外に出ると、本当に顔色が悪そうな彼に緑谷が駆け寄って聞いていると、強がりで「なんでもねえよ」と答えている

「なあ、電話の相手誰？」

『いとこ』

「好きの履き違え？」

『まあ、半分あたり』

アッシュに答えてスマホを耳に当てて焦凍に言葉を繋げようとすると、遠くの方からサイレンや音が聞こえてきた
たくさん聞こえてくるサイレンの正体は、日本でも聞いたことのあるパトカーだった

スピードを上げてからに向かってくると、ケースを持った彼を囲むように急停止している

(警察!? なんで？準備よすぎだろ〜!!)

「なんで警察…？」

青ざめている彼の前でパトカーからバッと降りた警官たちが銃を構え始めた
突然のことで一瞬、動きが止まった私は『ちょっと待って！』とスマホよりも警官に意識が向かっていった