元殺し屋はヒーローになる20 (ページ30)

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146話命懸けの追いかけっこページ30

NOside

「ルンタラッタラ〜」

ご機嫌でケースを抱き抱えたロレイは、鼻歌を歌いながら路地裏の中に入る
あとから「あ"ー…」と唸りながらペシペシと尻尾を振り回しているライアンが路地の中に入ってくる

「ライアンさん、ひどいっすよ。下にいる俺への被害考えてくださいよね」

「あ？別にあんなもん避けることできただろ」

「そうっスけど〜」

「おら、さっさと中身確認しろ。確認して、ロザリアに報告だ」

「ウィス！」

ガチャ、ガチャ、とケースの鍵を開けて「さぁ〜出ておいで〜」と歌いながらロレイは蓋を開けると、目をひん剥き「ぎゃー!!?」と叫んだ

「ほ…ほほほ、ほ…宝石〜!!?(ｷﾗｷﾗ」

「なに？」

目を輝かせ「これ1個、万はいくっスねぇ」と値踏みを始めたロレイにライアンは眉根を寄せると「取り違えたのか？」とロレイに聞くと「そうかもしれないっスねぇ」とホクホクと宝石を眺めて答えた

ライアンは少し考えると「その宝石、宝石店に返しとけ」とロレイに伝える
ロレイはガーンとショックの顔になると「なんでっすか!?」とケースを持ち上げてライアンに抗議した

「あくまでも俺たちはどっちのサイドにいる？」

「ヒーローっす」

「ヒーローが猫ババするか？」

「しないっすね」

「なら返してこい。匿名でな」

「ひーーーん…」

耳をぺしょりとイカ耳にし、べそべそ泣いてケースの蓋を閉めたロレイは「悲しいっす、ひどいっす、これなら腹一杯飯食えるのに〜」と泣きながらトボトボ歩き出し、宝石強盗に襲われた宝石店に届けることにした

そんなロレイの背中を見たライアンは、ケースを取り違えたこと、そして…アランを襲ったあの弓矢の敵のことを考えた

(あの女があのケースを狙ってるんなら、もうひとつのケースはどこに…)

ライアンはもう一つのケースの所在が気になるばかりだった
だがこの時は流石の彼も気づきもしなかっただろう

そのケースが今、青子の手の中にあるということを

青子side

「本当〜っにすみませんでしたぁぁっっっっ!!!!」

「すっげぇ、これがジャパニーズドゲザ…!!」

『緑谷〜』

ケースの中身がまさか宝石ではなく、手帳や書類などのいかにも営業マンのケースだった
緑谷が土下座して平謝りしているのに対して、私は頭をかいて『ごめんなさい』と頭をぺこりと下げた