元殺し屋はヒーローになる20 (ページ23)

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145話追いかけっこページ23

大通りの中央にある噴水を足場にして横断歩道を飛び越え、路地の通りへと着地するも、目当ての少年はどこにもいない

「どこに…」

『気配を探る…。緑谷、周り見張ってて』

「う、うん！」

意識を集中させ、全神経を尖らせる
空気の擦れる音、人の話し声、歩く音、車の音…息遣い…それらを全て感じ取るように意識を集中させていると、カンカンッと甲高い音が耳を掠めた

パッと顔を上げれば、お目当ての少年がケースを持って非常階段を駆け登っている

『緑谷！そこで待機！』

「えっ!?」

少しだけ離れて少年との距離を測り、『緑谷！来い！』と手を組む。その一連の動きを見て緑谷がすぐに察してこちらに走り、目の前で飛び上がる

緑谷の足を手に引っ掛けてそのまま力一杯に投げ飛ばせば、緑谷は非常階段の手すりに手をかけてそのまま飛び上がっていく

後を追いかけるように非常階段の手すりに手をかけてそのまま飛び上がって近づいていく

「Pi〜！」

『と、りぃ!?』

少年の髪の毛から飛び出してきたピンクの小さな小鳥が、こちらに飛んでくる
それを避けると、そのまま勢いよく緑谷の顔面にビタッと張り付き、プーッとおならをかました

『え"っ…』

「ンゴッ」

『み、緑谷ーっ!?』

臭いにやられたのか、そのまま下へと落下していく

「へへ…っ、残念でした♪」

得意げになる少年の肩に、小鳥が恥ずかしそうにしている。臭いにやられて下に落ちた緑谷に『大丈夫!?』と声をかけると、震えながらも親指を立てている

少年の方は長いは無用ということでそのまま走っていく。逃がすわけにはいかないので、そのまま追いかける

隣のアパートの屋上にいるのを確認したあと、そのまま追いかけると、また隣のビルに飛び移っている

『逃げ足と自分の体の使い方が上手い…！』

E組でもあんなに軽やかにできるかと聞かれればできると答えるだろうけど、何の訓練もない、ましてや一般人があんな動きができるかと聞かれれば、答えは否だ

「Pi Pi〜！」

「しつけーな」

自分を追いかけてくる私を見てうんざりした顔をした彼は、一気に私を撒くためにケースを前方に高く放り投げると向かいの少し距離のあるビルへ飛び移った