元殺し屋はヒーローになる20 (ページ16)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:23,941 hit

143-5 ページ16

『緑谷！』

「青子さん！かっちゃんと轟くんは!?」

『団員たちの相手をしてくれてる！私はヒーローと緑谷の補佐！』

「そうなんだ！」

前方から現れた団員たちは、「止まれ！」と言いながらこちらに向かってくる

『緑谷、下がれ』

「うん！」

壁に手を触れていき、高速で分解と修復をし、ズアッと団員たちに鋭く尖った地面を向けると、「うわあああ！」と言いながら壁に貼り付けられる

「すごい…！一歩間違えたら大怪我に繋がるのに…！」

「巧みな“個性”の使い方…！さすが、エンデヴァーが連れてきただけある…！」

「すごいよ、青子さん!!」

『緑谷、いいから前を』

前を見るように言うと、緑谷は慌てて前に向き直りそのまま走っていく

《Bチーム、フレクトは!?》

「まもなく突入する！」

《確保次第、トリガー・ボムのありかを聞き出せ！》

「了解！」

頭の中に叩き込んでいた地図を頼りに執務室なる部屋にたどり着くと、そのまま扉を蹴り飛ばすために地面を蹴った

「あの部屋にフレクト・ターンが…って、青子さん!?」

緑谷の脇を通り抜けていき、扉を蹴飛ばして部屋の中に押し入るようにして入った
地面を横滑りで入り、持っていた銃を抜いて引き金に指をかけながら構える

『………いない』

「くそ！指導者不在、周囲の捜索を！」

いるはずのフレクト・ターンがおらず、私は立ち上がってかぶっていたフードをバサリと取ると部屋の中を見回した

掲げてあるヒューマライズのシンボルマークだけが、まるで踏み込んでくるのをあらかじめ知っていたかのように私たちを見下ろしている

「青子さん、怪我は」

『平気、何ともない』

襟元に顔を埋め、自分の顔を隠すように襟元を指であげる
フレクトはいない、そして私たちが捜索しているトリガー・ボムも今現状、この施設にはない

その後、結果としては世界中にあるどこの施設からもトリガー・ボムは発見できなかった

『はぁぁ…結局、捕らえた団員たちはトリガー・ボムの保管場所すら知らなかったんだって』

「…そうなんだね」

『というよりも、存在すら知らなかったっぽいし…なんか、厭な予感しかしないな』

あのテロ事件も、きっとヒューマライズの指導者であるフレクトの直属の部下がやったことだろう
こっちの動きを察して事前にトリガー・ボムを移動させたのか…