元殺し屋はヒーローになる20 (ページ41)

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『…とにかく、無闇矢鱈に動き回るのは危険だ』

「じゃあ、どうすんだよ？」

「逃げるしかないだろ」

「…はあ？」

アッシュがさも当然だとでも言いたげな顔つきで彼に言うと、「逃げるの？」と緑谷がパチクリと目を瞬かせて聞いてきたのに、私は無言で頷いた

『この国にいたとしても、指名手配されてるんだしね。まあ、全世界で指名手配されてるだろうけど』

「それって詰みなんじゃ…」

『バカ言うな、緑谷…詰みっていうのは…今この現状を言うんだよ』

「青子さん、落ち着いて…頭が回ってないよ」

『あーーーもーー…』

ガシガシと頭をかいて濡れたインナーをなんとか絞り終えると、「っくし！」とアッシュと緑谷が小さなくしゃみをした
しまった、川から上がってそのままだったから服が濡れたままだ

「とりあえず、着替えた方がいいよね」

「あんたら、着替え持ってんの？持ってないよね。俺もこれだけだけど」

『とりあえず、どっかの古着屋で買うか…』

ウエストポーチから取り出した財布には、オセオンで使えるお金が入ってある。ちゃんと両替しておいたから使えるはずだ。絶対

『私は絶対に行かないといけないし…待機組は緑谷と…どっちが残る？』

「俺が行く！俺行く！」

『わかった、アッシュは待機ね』

「はあ!?」

はいはい！と意欲的に手を上げたアッシュに待機を命ずると、「デート…！」と悔しそうに何かを呟き、緑谷はそれを拾ったのか「キミって、愛が溢れてるね…」と何かを悟ったらしい。緑谷、アッシュのことを侮るなよ

『じゃあ、私とキミ。服買いに行こう』

「はあ…。あんた、顔が割れてるんだろ？」

『大丈夫大丈夫』

ケタケタ笑いながらオリーブ畑を進んでいき、道路に出ると彼は「ちょちょっ！」と慌てながら追いかけてくる。サングラスをかけてキョロキョロとしている

「あんた、顔も隠さずに何してんだよ！」

『堂々としてなよ…』

「堂々としてるあんたがおかしいよ！」

こそこそと突っ込んでくる彼に『あーはいはい』と適当に答える。髪の毛が濡れているから乾かしたいけど、ドライヤーなんて便利グッズがあるわけでもない
仕方ないので、濡れた髪の毛をそのまま束ねてお団子にする

前髪を全体的に横に流しておき、目の色は変えることができないからそのまま
ちょっとだけ髪の型変えるだけで人って簡単に印象変わるんだよね