元殺し屋はヒーローになる20 (ページ39)

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ガシガシと頭をかき『いい加減に、しろ!!』と少年の胸ぐらを掴み、ゴィィンッと頭突きを喰らわした
涙目になって自分の額を抑えて地面に項垂れた彼に『いい？』と力強く言い放つ

『今の現状、警察は問答無用で発砲して敵まで襲ってきた。つまり、私やキミの生死を問わないということになる』

「…そうか！じゃあ、彼らの目的は僕たちじゃなく」

『この、ケースだろうね』

地面に落ちたジェラルミンケースを拾い上げ、中身を調べるために鍵を開けて中身を広げていく
これといって変わったモノもなければ、特に異変も異物もない。どこにでもある書類やら手帳やらの入ったケースだ

「どう？」

『だめだ…事件性につながるようなものはなにもない…』

「警察がなんでこれを？」

『それがわかれば苦労しない』

パタン、と中身を全て詰め込み蓋を閉める
どうしてこのケースを欲しがるんだ？ただのなんの変哲もないケースなのに…
もしも、このケースに何か秘密があるんだとしたら…だとしたら、このケースは…

「って、なにしてんの!?」

『？』

緑谷の声に顔を上げると、ケースを取り上げた少年は「狙われてんのはケースだろ」と言ってくる
わかる、その後の言葉がどう続くのかも

「だったら、こいつを渡せば一件落着なんじゃね？
そうだよ、簡単なことじゃないか」

「簡単なわけないだろ…」

現実逃避しようとした彼に、腕を組んで呆れたため息を交えながらアッシュが見つめながら答えた

「相手がケースに隠されてる秘密を知った俺たちの口封じをするだろうな。現状、何も知らなくてもケースの中身を見ちまった時点で、俺たちの命は危ない
俺なら、ケースの中身を見たそいつらを絶対に殺すぜ。秘密をバラされちゃたまんねぇからな」

「うん。この子の言う通りだよ」

アッシュに同意した緑谷に、「待て待て待て」と大袈裟だと言わんばかりに手を振ってくる彼は、まだ認めたくないらしい

「そうネガティブな方向に考えるなよ。そうだ、ケースを燃やそう。んで、燃えちゃった〜って言おう」

「結果が変わってねぇよ」

『ハハハハ…』

彼の提案をぶった斬り、「もう諦めて現実を見ろよ」と明らかに年下の子どもに諭された彼は、半ばやけくそになって「ならいっそ、ケーサツに言おうぜ！」とケースを持ち上げた