元殺し屋はヒーローになる20 (ページ11)

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水を出す“個性”を持つ者は、竜巻状に地図を噴出し続け、周囲の者を巻き込みながら建物を崩壊させていく

この騒ぎにいち早く駆けつけたヒーローも、自身の“個性”であるビームを全身から過剰放出させてしまう

強力なビームがビル群を崩壊させていく

整備された都市は一瞬にして瓦礫の街へと変わり果てた

そんな街の光景をタブレットで見た男は気だるそうに、世界を潰そうとしているフレクトに小さな舌打ちをする

「…ホント、やってくれるよね…フレクト・ターン」

自分の意思はなく、ただ暴走し続ける“個性”保持者たちのパニックの中、たった一人なす術もなくそして変化することもなく呆然としている者がいた

「あなたは“個性”を持っていないのですね？」

「！」

「おめでとうございます。あなたは救われたのです…」

女は無個性の人間に歩み寄ると、にっこりと微笑んだ
そんな女の後ろに「救われたとは、どういう意味かな？」という自信満々の声が聞こえてきた

「…お前は！」

「初めましてだね、ヒューマライズ…彼はこちらが保護しよう」

「重病者が…!!」

「赤き薔薇の炎(レッド・ローズ・フェイム)！」

男に向き直った女は抵抗の意を示すも、男の一振りによって薔薇の炎に焼かれてしまった
無個性の男は「あ、あなたは…！」と目の前で起こったことに困惑しながらも男を見ていた

「大丈夫です。あとは僕に任せてあなたは安全な場所へ向かってください
この辺りは危険なのでコレを」

「コレは…」

「ガスマスクです。あなたのように困っている人がいたらこれを渡して一緒に逃げてください」

「あ、ありがとう！」

数個のガスマスクを男に手渡すと、「全く…」と自分の“個性”で倒した女を見下し、手にしていた杖をガッと地面に突き立てた

「この僕に、キミが敵うと思っているのかい？
全く…勘違いしないでおくれ。僕は寮長だ…僕の実力、見くびらないでほしいものだね」

男の名前はチュリャ…ヴィランズランドの人間で、ロゼリアという人間の下で動いている人間である

「さて…こんなことが各国で起こっているとしたら…ヒューマライズは即刻にして捕まえなくてはならないね」

ガスを吸わないようにガスマスクをしているチュリャは、「…ロゼリア、キミは大丈夫なのかい？」と、自分の主君の身を案じた