天使と悪魔の方程式4【男主】 (ページ50)

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36話引き払いの時間ページ50

ー翌日ー

『ふぁっ…』

「あれ、早いね」

『あぁ…アパートに一旦戻ろうと思ってな…掃除しに行かないと』

「あ、そっか。ほったらかしだもんね」

『アッシュが起きる前に行ってくる。起きたらアパートだって言っておいてくれ』

「わかった！」

パーカーと帽子を被って外に出る
特に目立った格好もせず、ここから地下鉄を使ってアパートまで行く

「あら、裕人!! 久しぶりね！元気にしてた？」

『おはよう、元気でしたよ』

近所の人との挨拶を終えた後、自分のアパートのドアの前に行き鍵を開けて中に入るとすでに埃臭かった
そりゃそうだろう。数ヶ月ぐらいほったらかしだったから

すぐに窓を開けて換気をし、舞い上がる埃に咳をしながらマスクをしてバタバタと片付けを始める
段ボールの中に仕分けをして、いらないものと日本に送っておくものをわけておき郵便局で宅配をしてもらう手続きをして…諸々終えたのが昼過ぎだった

「そうなの…大変だったのね」

『何から何まですみません…』

「いいのよ、気にしないで。新しいところでも頑張ってね」

『はい』

ぺこりと頭を下げてアパートを後にする
家具やら電化製品やらは置いていき、アパートを引き払って俺は大学へと向かった
学生部の人を呼び、事情を説明して退学手続きをすると「キミのような人間が辞めるなんて…もったいないよ」と残念がられた

『すみません…日本に帰らないといけなくなって…』

「ご両親のことなら、聞いたよ…残念だったね」

『はい…でも、大丈夫です。俺には祖父母がいるので』

ペタリとハンコを押して退学手続きを終え、俺は諸々のことを全て終えた
これでアメリカにいる意味は無くなった。あとは日本に帰るかアメリカに残ってひっそりと暮らすかのどっちか

世界旅行にでも行ければいいんだが、あいにく俺はそこまで行く暇はないし趣味もない

『ただい…』

「どこ行ってたんだよ!!!」

『……………………………奥村』

「言う前に…」

『奥村』

「アパートの掃除だよ、キミも行ったことあるんだろ？京のアパート」

「………1人で、俺にも、言わずにか？」

『あぁ。安心しろ、俺のアパートは平穏だった』

「そういう問題じゃねぇ!!!」

ガシガシと頭をかいた半裸のアッシュが不機嫌になったのはいうまでもないことであった