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ケープコッド…アッシュの故郷に一行が赴いた時、アッシュは早朝から起きて銃を撃っていた
へっぴり腰で銃を扱う英二を見て、アッシュが弾けるように笑った
銃の構え方を教えるアッシュの表情は、とても柔らかかった
そして、丘からゆっくりと歩いてきた青年の横顔はなんとも恐ろしいほど儚く消えてしまいそうなほど柔らかい表情だった
どこか2人を別次元の…別世界の人間だと言う顔で眺めている裕人に伊部は恐怖さえ覚えた
「彼らが持っているのが銃でさえなけりゃ、同じ年頃の男の子たちがじゃれあってる、心和む風景さ
だから、声をかけるのが遅れてアッシュは俺に気づいた。その一瞬で、彼は俺の心の動きを読み取っちまったんだ
さっきまでの表情は消え、いつも通りの彼の顔に
…不幸な子だと思った。いつからこういうことを身につけてしまったんだろうと…」
銃を撃つ英二を見て、まあこんなもんかと笑っていたアッシュが、伊部の存在に気付いてスーッと無表情になった
身体を硬くして風に吹かれながら、アッシュは伊部をじっと見つめていた
どれだけのことを乗り換え、少年はそんな表情を備えてしまったのか
それを思うと、伊部はやるせなかった
「あいつは英二と裕人といる時だけ戻れるんだろう。ただの17のガキに」
「………………」
たった2人の日本人は、アッシュにとって大切な宝物であると同時に、この2人は気づかなかったのだ
アッシュの宝物だとひとくくりにしていたこの関係が、ゆっくりと音を立てて崩れ始めているのを
裕人side
『ふう…』
「京、大丈夫かい?」
『あぁ』
ブルーライトカットの眼鏡を外し、目頭を指で押し込み椅子の背もたれにもたれていると、「写真、できたのか?」とアッシュが部屋に入ってきた
「あ、ああ…うん」
「どれ…。よくできてるじゃないか
さすがカメラマンの助手だな」
「ちぇっ、からかうなよ」
「このデータは裕人が?」
『友達にプログラミング頼んだけど…』
「へぇ…すげぇな」
「僕の時と反応が違う…」
椅子から立ち上がり、本棚の本に指をかけ適当に手にとった本のページをめくる
パラパラと音を立てて紙が擦れ合うと、「だけどこんなすごい部屋、よく借りられたね?」と奥村がまじまじと部屋の中を見回した
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ルイ(プロフ) - え、つまり、オーサーにやられたの? (2021年9月5日 12時) (レス) id: de4baf91a8 (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - ユーマさん» こちらこそありがとうございます! (2021年8月26日 22時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - ルイさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 22時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
ユーマ - 最高ですありがとうございます( ; ; )!! (2021年8月24日 1時) (レス) id: 9d9fb50ec0 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 待ってました! (2021年8月20日 23時) (レス) id: de4baf91a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月3日 18時