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「アッシュ!京!アーッシュ!京ー!放せっ、放せよっ!」
遠くの方からドアが開く音と、奥村の泣き叫ぶ声が聞こえてくる
「おい、待て!」
「英ちゃーーーーん!!」
『奥村…?あいつを、どこへ連れて行くつもりだ…』
涙を流しながらオーサーに聞けば、「言っただろう、あいつは昔のアッシュと同じ運命だ。そして最後には、アッシュ、お前を殺すよう暗示をかけてやる」と吐き捨てた
『なあ、もうやめてくれよ…頼む……俺を、殺してくれよ…』
「お前の方はそうはいかない。まだ楽にしてやるわけにはいかないからな」
「おい、オーサー!京に触るな!」
「たっぷりと時間もあることだしな。すぐには殺さん」
「オーサー!裕人から放れろ!!」
アッシュとショーターの叫ぶ声が聞こえるのに、俺は答えれない
涙で目の前が見えなくて、喉が焼けるように痛くて、胸が張り裂けそうなほどに辛い
オーサーはなんの抵抗もない俺のシャツにナイフを当て、ボタンを切り落とした
「アッシュ、お前が泣き叫んで楽にしてくれとわめく様を…見せてくれよ…」
「やめろ、そいつに何するつもりだ!!」
「こいつもお前と同じなんだろう?なら…」
「やめろ…やめろ、やめろ!!」
「相手ぐらい、できるよなぁ?サムライボーイ」
『…好きにしろよ、もう…疲れた』
ポタッとこぼれ落ちる涙に、俺は拭えなかった
.
.
どれぐらい時間が経ったんだろうか…
はだけた服よりも、乱れたスラックスよりも、床に落ちている白濁も、どうでも良くなるぐらい頭がおかしくなった
「裕人、裕人…」
『……………』
もう、疲れたんだ…
誰か、俺を…殺してくれよ
暗闇の中、誰かが俺を呼んでいる
「裕人、裕人!」
遠くで聞こえてくる大好きなその声は、俺の耳にしっかりと届いた
強くて逞しくて、それでいて優しい声
「なーあ、裕人〜こっち向いてくれよ〜」
涙で濡れた瞳で顔をゆっくりと上げれば、眉を少しだけ落として困り笑顔になる兄ちゃんがいた
俺の大好きな兄ちゃんだ
「もー、泣くなよー…お兄ちゃん、裕人が泣いてるの見ると、べそかきたくなるだろー?」
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ルイ(プロフ) - え、つまり、オーサーにやられたの? (2021年9月5日 12時) (レス) id: de4baf91a8 (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - ユーマさん» こちらこそありがとうございます! (2021年8月26日 22時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - ルイさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 22時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
ユーマ - 最高ですありがとうございます( ; ; )!! (2021年8月24日 1時) (レス) id: 9d9fb50ec0 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 待ってました! (2021年8月20日 23時) (レス) id: de4baf91a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月3日 18時