元殺し屋はヒーローから海賊へ2 (ページ48)

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20話新たな旅立ちページ48

オレンジ色のテンガロンハットをかぶって、小さなヨットに乗って大海原を進んでいくと言った時は流石にやめとけと思ったけど、案外できるもんだなと思って手を振る

「がんばれよー！エース!!」

「待ってろ、すぐに名を上げてやる!!!」

『しっかりーー!! ご飯ちゃんと食べてねー!!』

「おーーーーう!!!」

人知れず一人前の立派な男になった海賊王の息子、エースはコラボ山の海岸より静かに出航した
豆粒程度の大きさになったエースはまだ手を振っていて、私も見えなくなるまで手を振り続けた

ダダンさんのアジトに戻ると、最後まで見送りに行かずに酒を飲んでいるダダンさんがいる
意地張らずに見送りに行けばよかったのに。赤ん坊の時から育てていると聞いた時はそりゃもう大変だったろうと同情した

『あ、ダダンさん。エースから伝言です』

「なにを〜!? 最後の最後まであたしに文句があんのかい!?」

『「世話んなった、ありがとう」って』

「ふざけんじゃねェよ!!! バカが!!!」

背を向けてハンカチひとつドバドバ涙を流しているダダンさんを見て、『素直じゃないな』なんて笑いながら見る
あんなに小さかった子が、もう私の身長を超えてしまっていた

ルフィも、私と変わらないぐらいだけど私の方がほんの少し大きい

「青子」

『？』

アスランはもうすっかり、私と出会った時のアスランだった。短い金髪と綺麗な緑の瞳はまっすぐと私を写し、アッシュと錯覚させられる

「俺をずっと、守ってくれてありがとう」

『え？』

「やっぱり、俺のヒーローだ」

『…………えっ』

まるで、私を知っているかのような
私と言うヒーローを知っているような言い方に寒気がした

『アスラン…あなた、まさか』

「俺だよ、アッシュだ」

『………ウソ』

「ホント」

へへへっと照れ笑いをするアスランに飛びついたのは仕方ないよね？
アスランはアッシュだった。育て方を間違えたのかというほどセクハラは変わらなかったけど、可愛いもんだし変なことしたらルフィが「こらー！」と言いながら追いかけ回すからアスラン…いや、アッシュも下手なことはしていなかった

「青子は海に出るのか？」

『うーん…ルフィと一緒に出るのもいいんだけどなぁ』

「一緒に!? ホントか!?」

『1年早く出るかなぁ』

「えぇっ!!!?」