元殺し屋はヒーローから海賊へ2 (ページ47)

今日:13 hit、昨日:12 hit、合計:47,722 hit

19-4 ページ47

「青子…あの」

目を下に向けて言いにくそうにしているエースの頬をつねると、「なにすんだよ！」と怒って来るのに『エース、私怒ってるからね』と言うと、まあるい瞳を揺らした

『…無茶と無理は違うんだよ。エースは確かに強いよ、もちろんこれからもっと強くなる。だけど、ルフィは？』

「っ…」

『ルフィはこれから強くなるの。今のルフィの強さと、エースの今の強さの大きさが違うのはわかるでしょ？
ルフィはまだ守ってあげなきゃいけない。だけど、時には一緒に戦っていかなきゃいけない。今回のような時は特にね』

「…………」

『1人で生きていく力は確かに必要だよ。でもね、人は誰かの力を借りていないと生きていけないの
ルフィやエースが怪我をしたら誰が治療したりするの？
ルフィやエースがご飯を食べる時、誰が作ってくれてる？
ルフィやエースがお風呂や寝るのに必要なものを準備しているのは誰？』

「………青子」

『うん、そうだね。だけどね、多くの人の力を借りて私たちは1日を生きてるの。エース、確かに1人で生きていくのは必要だよ。だけど今は、ルフィと一緒に生きていこう？力を合わせて、サボに頼まれたように…まだルフィは弱虫の泣き虫なんだから』

こつん、と額と目を合わせて言うとエースはちょっとだけ目を逸らした後、「うん」と頷いた
それを見て頷き、『ほら、ご飯食べよう』と小さな背中を押すと「…うん」としみったれた声が聞こえて来る

そこからエースは、変わった

『え？』

「挨拶の仕方を？」

「おれはルフィとアスランの兄貴だからよ。いつかその、弟が世話になったって言う、赤髪の船長に挨拶に行くのが筋ってモンだろ」

『エース…立派になって…!!』

「なんだよ!!!」

真っ赤になって恥ずかしそうにするエースに『ごめんごめん、じゃあまずは』と挨拶の基本をマキノさんと教えていくことになった

それからエースは、行儀良く「ありがとう」「おはよう」「おやすみ」それから「ごちそうさまでした」「いただきます」を言うようになった。もちろん、エースの真似っこをしたがるルフィも同じように真似をしたが、やはり食い逃げは治らなかった

一緒にクマを倒したことを報告してきたり、端町の不良をボコったとか、でかいムカデと戦ったとか…帰ってきたガープおじいちゃんにボッコボコにされたりとなかなかに濃い人生を送っていた2人はいつしか…

17歳と14歳になっていた