元殺し屋はヒーローから海賊へ2 (ページ46)

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意地の張り合いが終わったのは、とある大雨の日
アスランが雷が落ちないか心配しながら外を眺めていると、「あ、エースとルフィ！」と声を出した

こんな雨の中ホントよく動くなぁ

ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ!!

「？」

『なに？』

扉をドンドンと叩く音を聞き、『エース？』と声をかけると「青子、開けてくれ!! ルフィが怪我した!!」と言うから慌てて開けると、そこには雨に濡れた上に血塗れのルフィがエースに背負われていた

『ルフィ!!! ドグラ、マグラ!! 救急箱を！早く!!』

濡れたエースをアスランに任せて血塗れのルフィの治療を急ぎ、布団に寝かせて安静にさせる
息をするのもつらそうなルフィの頭を撫でたあと、エースの方を見る

「まーまー。冗談じゃすまねェとこだ…今までは3人で戦ってた猛獣だろ…青子が1人で勝てるってことと、お前ら3人が勝てるのは違うんだぞ、エース」

ガタガタ震えているエースをギュッと抱きしめると、「青子…おれ…おれ…」と服を掴んですがってくる
それを黙って抱きしめて『大丈夫、大丈夫』と安心させるように声をかけて頭を撫でる

『大丈夫だよ、エース』

ガタガタ震えていたエースの体が次第に落ち着きを取り戻し、カクンと力が抜けて眠りについたらしい
そんなエースをルフィの隣に寝かせてやる。目が覚めたとき、ルフィがそばにいた方が安心すると思ったから

「青子は不思議だなァ」

『え？』

「お前がいると、エースは年相応になる」

『…………』

そういえば…アッシュもそうだったっけ
大人びていた山猫が私と一緒にいるとなぜか年相応の少年になるとブランカも笑っていたぐらいだった

あの時はよくわからなかったし、大人びていたアッシュがどんなものだったのかもわからなかったし、大人びてというよりも大人の皮をかぶって遊んでいる、という風にしか見えなかったな

アッシュはむくれてたけど

『そうだと、いいな』

目元がほんの少し赤くなっているエースを撫で、うとうとしているアスランにも布団を敷いて寝かせてやる

翌日、目が覚めたエースは隣にルフィがいて、昨日よりもグースカ大きな寝息を立てているのにホッとしたのか、キッチンの方に歩いて来る

『おはよう、エース。よく眠れた？』

「…おう」