元殺し屋はヒーローから海賊へ2 (ページ44)

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19話強くなることページ44

サボが死んだと聞かされ手紙が届いた次の日、お互いの夢を叫び合った崖のそばでルフィが地面に突っ伏しているそばに座り、『楽しい？ルフィ』と声をかけると無言でズビリと鼻を鳴らしている

アスランも真っ白な肌を真っ赤にして「ひく」と泣いている。スンスンと鳴らす鼻を手の甲でぐしぐしと拭っているのも見る

スタスタと歩いてくるエースが突っ伏しているルフィの頭を思い切り殴りつけた
怒ったりしない。メソメソしているルフィに喝を入れることができるのはエースだけだと知っているから

「いつまでそうやってるつもりだよ」

「………!!」

「“中間の森”に隠してた財宝は全部無くなってた。結局、サボは使わなかったんだ。だから、おれももう別にいい
守れもしねェ財宝集めても仕方ねェ」

『…命があるだけマシ』

「あぁ」

腕を組んで前をまっすぐ見つめるエースが頷き、優しい潮風が黒髪を揺らしている
自分の頬に貼られている絆創膏をひとなでしたあと、ふわふわの髪の毛を揺らしているアスランの頭を撫でる

「エース、青子、アスラン、おれは」

「！」

『？』

「ルフィ？」

「もっと!! 強くなりたい!!!」

『！』

「もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっともっともっと!!! もっともっともっともっと!!! もっともっと!!! もっと強くなって!!!」

『………………』

「そしたらなんでも守れる…誰もいなくならなくてすむ…!!!」

『…………うん』

「お願いだからよ…エースと青子たちは死なねェでくれよ…!!」

ズビッと鼻を鳴らしたルフィに「バカ言ってんじゃねェよ！おれたちの前にてめェの心配しやがれ!!」とルフィの頭を殴る。まあ、実際そうなんだけどさ

「おれたちより、遥かに弱ェくせによ!!!
かくいうおれだって青子よりも弱ェ!! おれだって強くなる!!! もっとだ!! いいか、覚えとけルフィ!!! アスラン!!! 青子!!!
おれは死なねェ!!!」

「うん……!!!」

「うん…」

『…うん』

「サボからもおれと青子は頼まれてんだ…。約束だ！おれは絶対に死なねェ!! お前やアスランみたいな弱虫の弟を残して死ねるか！」

「うん…うん!!」

ゆっくりと起き上がって、シャンクスさんから預かった帽子のつばをぎゅっと掴んで頷くルフィと、ズビズビの鼻をさらに鳴らして頷くアスランを横目に、エースの強い言い方にどこか安心した