元殺し屋はヒーローから海賊へ2 (ページ32)

今日:2 hit、昨日:12 hit、合計:47,711 hit

15話悪臭の街ページ32

「貴族に生まれるなんてことは頑張ってできることじゃねェ。幸福の星の下に生まれるってことだ…!!
できるもんなら代わってもらいてェよ…。おれァ、貴族に生まれたかった」

ズキズキと痛む肩や足に必死に力を込めてルフィとエースを両脇に抱えて飛び出さないように守るように肩を抱き寄せる

「評判の悪ガキ3人組の1人は…貴族だったわけか…
もう1人の顔のいいガキも貴族みてェな顔だったが、あいつは違うんだろ。どう見てもこの国の人間じゃねェ
「高町」からわざわざ“ゴミ山”を馬鹿にするためにやってくるとは…おめェらも内心見下されてたんだろうな」

「バカいえ!! サボはそんな奴じゃねェ!!!」

「そうだ!! おれ達は兄弟なんだぞ!!!」

『エース、ルフィ』

熱くなる2人の肩を叩いて冷静になるように促すと、2人はフーッフーッと息を切らしている

「…フフフ。ああ、そうか。そりゃ悪かった…しかし…おめェらもう奴に近づいたりしねェよな…
そうする気なら今ここでお前らを殺しとかにゃならねェ。兄弟を想うなら……放っておくのが奴のためさ」

ブルージャムの笑みに何も返さずに頷きもせず、肯定とも否定ともとらない態度をとると、「なんだ、お嬢ちゃん」とこちらを向いてくる

『あの子は…サボは「高町」を嫌ってた』

「あいつのことは忘れてやりな。それが優しさってモンだ…大人になりゃわかる」

『わからないね。あの子の自由も思いも、あの子自身のものだ。お前らみたいな汚い大人が口を挟むようなものじゃない』

「…随分と、威勢がいいな」

『19年も汚い大人の相手をしてないんでね』

そう…幼い頃からずっと戦ってきた、前を向いて生きてきた
どれほど闇に堕とされようと、いつか解放されると夢見て戦い続けて戦い抜いて、次の光のために自分の力を全て出し切って

『私はあの子を救ける。あの子が見たい未来を、必ず見せる…!!!』

恨みつらみで動くようなことにならないように
涙を流して自分のやりたいことを押し殺さないように

思いに潰されないように

「ハッハッハッ!! できるわけないだろう!! んなことは、余計なお世話だって言うんだぜ？」

『…余計なお世話だとしても』

「あ？」

『あの子は泣いてるじゃないか』

私は

『余計なお世話は、ヒーローの仕事なんだよ』

「…………笑えねェなァ」