元殺し屋はヒーローから海賊へ2 (ページ12)

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『サボにとってその記憶は、きっと辛い記憶ばかりだと思う
生みの親から見てもらえないことは、私にはわからないけど…でも、それでも自分のことを話すことはすごく勇気がいることだよ
だから、話してくれてありがとう、サボ』

ギュッと小さな体を抱きしめる
この小さな体で、どれほどの絶望と孤独を受け止めてきたのだろうか
この子が、この子達があの子に重なって見えてしまう

サボはゆっくりと私から離れると、「おれを受け入れてくれて、ありがとう」と少し涙ぐんだ目で言ったあと、ルフィとエースを見た

「エース、ルフィ、青子…!!! おれたちは必ず海へ出よう!! この国を飛び出して、自由になろう!!!」

『……！』

「広い世界を見ておれはそれを伝える本を書きたい!! 航海の勉強ならなんの苦でもないんだ!!
もっと強くなって海賊になろう!!!」

『ヒーローの目の前で堂々と海賊宣言するんだ』

「青子はおれたちのこと捕まえないだろ？」

『うわ、バレた』

こんなに気持ちのいい子たちを捕まえるほど、私は性根が腐ってない
そりゃ、捕まえなきゃいけないんだろうけど…あいにく私は海軍ではないので。人を困らせるようなことをしていなければ、好き勝手してくれて構わない

「ひひ。そんなもん、お前に言われなくてもなるさ!! おれは海賊になって勝って勝って勝ちまくって、最高の“名声”を手に入れる!!
それだけがおれの生きた証になる!!
世界中の奴らがおれの存在を認めなくても、どれほど嫌われても!!! “大海賊”になって見返してやんのさ!!!
おれは誰からも逃げねェ!!! 誰にも敗けねェ!!! 恐怖でもなんでもいい!! おれの名を世界に知らしめてやるんだ!!!」

「ししし…！そうかよーし、おれはなァ!!!」

エースの隣に立ち、大きな声で叫んだルフィに「は??」とエースとサボが声をそろえる

「なっはっはっはっはっはっはっ」

「…お前は…なにを言い出すかと思えば…」

『あはははは！』

「面白ェな、ルフィは!! おれ、お前の未来が楽しみだ!!」

「青子は？」

『んー？そうだなぁ…私は、もっと強くなりたい
この手に触れるどんなものも感じ取れて導ける…そんなヒーローになりたい
たとえ私の存在が世界の人間を脅かすことになってもいい、私の名前が恐怖の対象になってもいい、ただ…人を助けることができるのなら…!!!
私はもっとヒーローらしいヒーローになりたい』