7-6 ページ7
『なっ…アッシュ！』
「じゃ、ルカ。あとは頼むぜ」
「おう、任せろ」
引き離そうとしても彼の力は相変わらずで、私はそのまま肩を抱かれながら歩いていく
人もまばらな大学の中では、好奇の目を向けられて私は下を向きながら歩いていくと、「どうした？」とアッシュが優しい声で聞いてくる
『あの、肩』
「え？あぁ、また倒れられると困るからな」
『もう倒れないわよ』
「どうだか。オネエチャン、嘘つくもん」
『え？』
「？」
いつものようなからかい口調で言うのに対して、私は彼を見上げる
どうして、どうして「オネエチャン」？
『私、あなたのオネエチャンなの？』
「違うのか？」
『…私の誕生日は8月10日だけど…』
「俺は12日。ほら、俺のオネエチャンだ」
ずいっと顔を近づけてくる彼に、『そ、そうね』と返すと、「何もしないけど？」と少し困った眉で言うもんだから『あ、ごめんなさい』と謝る
『ただ、パーソナルスペースが気になって』
「え？」
『ほら、あなたすごくモテるでしょ？
学科の女の子たちと話す時なんて、人が1人入るくらいのスペースを空けるのに』
「あぁ…。エスタナとはくっつきたいんだ、ダメ？」
『ダメと言ったら？』
「親密な関係になれるように努力するかな」
『結局は離れることはないのね』
「そゆこと。だから慣れてね、オネエチャン」
『慣れるもなにも…』
あなたで慣れてるのに…その言葉を飲み込み、私はグリーンアイから目を逸らして『そうね、でも私もう慣れてるわ』と言うとアッシュは少し目を見開いた
「は？肩組むこととか、抱かれること？」
『そうね…腰の方をいつも抱いてきてたこともあったわ』
「は？誰それ、エスタナ教えて？」
『ふふふっ、だめよ。教えない、私の大切な思い出だもの。アッシュには教えない』
「どんな奴？俺よりイケメン？それとも」
『素敵な人よ。私のためにいつも頑張ってくれた人…すごくかっこいい人』
「…俺よりも？」
『比べられないわ。アッシュにはアッシュの良さが、あの人にはあの人の良さがあるもの』
「…せめて、性別くらい教えてよ」
『男の子よ、私の一つ下』
そこまで言うと、アッシュは目を見開き「一つ下？一つ下…」と眉にシワを寄せてブツブツと言い始める
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月28日 17時
