14話 疑惑の時間 ページ43
あの日以来、レオンは緩く、そして怪しげな笑みを向けて「秘密よ」と笑うばかりだった
俺は眉を寄せて疑いの目を向け始める
アイツがレオンなら、自分の元仲間のことを忘れるはずがない
第一、俺のことを覚えているのなら尚更だ
そして、1番の疑問はエスタナだ
俺が朝から迎えに行こうとすると、いつも１０分ほど前に出て行ったと言われる
しかも、黒塗りの車の迎えだと言われるのだ
ドアマンに聞くのは癪だったが、俺はエスタナとの連絡を交換していない
だからいつものように足を向けているかどうかの確認をするしかないのだが、ここ最近黒塗りの車の送迎らしい
学部さえ違えば、授業が終わる時間さえも違う
俺が早く終われば向こうは遅く終わり、向こうが早く終われば俺は遅く終わる
エスタナはその絶妙な具合を縫って自分のアパートへ帰ってしまうのだ
だから、会うとしたら自分たちの授業が休講になった場合か暇になって図書館に行くときぐらいだ
エスタナ本人は図書館が好きでよく出入りしているとオーサーからも聞いたが、ここ最近絶対に会わない。というよりも、見かけないのだ。大学内で
「嫌われたんじゃねぇの？」
「ちょ、ショーター…」
昼飯を3人で食う中、遅れてきたシンが「なんの話？」と菓子パンを買ってきた袋をテーブルに置いてガタガタと椅子に座った
「最近、エスタナが相手してくれないんだとよ」
「へぇー…。そういや、うちの若様もそうだな」
「あぁ、月龍な」
「彼、忙しいの？」
「それがよくわかんねぇんだよなぁ…屋敷に行っても、忙しいっていって追い返してくるし」
「かといって、暇な時間はないからよくわかんないんだよ」
「へぇ…」
昔のような確執はなくなったものの、やはりあの性格だ
一部からは嫌われているものの、シンのおかげで寂しがり屋のツンデレというキャラで定着したらしい
まあ、どうでもいいが
「そういや、レオンは？一緒じゃないのか？」
「あぁ…そのことなんだが」
「？」
「アイツ、レオンじゃないかもしれない」
「「は？」」
「え、やっぱり？」
「あぁ」
俺の発言にショーターとシンは声をあげ、英二はキョトンとした顔で「そっか、そうだよね。なんか違うし…」とモグモグと昼飯を口の中に放り込んでいる
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月28日 17時
