ヤマネコが愛したライオン2 (ページ41)

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最低だと罵って欲しい

罵倒して欲しい

愛する人が幸せなのに、私はそれを祝福できていないのだから

『でもそれももう終わりにするの…』

「なぜ？」

『…私は綺麗じゃないから』

身も心も、こんなに汚くなった私をアッシュが選んでくれるわけがない
花のように可愛い、蝶のように美しい人間と一緒になるべきだ

しまっておこう、もう

この想いも、気持ちも、全部

『…よし!!!』

「！」

『オーサー、デュエット付き合って!!!』

「…もちろんだ」

吹っ切れるように、私だって前を進もう
いつまでも昔に囚われてはいけないのだから

それからオーサーにはみっちりと練習を付き合ってもらい、お詫びとしてコーヒーを奢った
放課後はアッシュが来ないことを予想してルカに送ってもらうことで自分の中で結論つけた

「で、まじでアッシュに言わなくていいのかよ」

『言わなくていい』

「……けどよぉ…あのストーカーとかもあったしよぉ」

『アッシュは私の恋人？』

「…………」

『なんでもないのに、これ以上迷惑をかけれない』

「そうだけど」

『わかったらもう話すな。黙れ』

「…Yes ボス」

文庫本を読みながら冷たく言い放てば、ルカはぐっと押し黙り、いつものように小さくなり素直に従う
…昔から強く言いすぎる節があったからなぁ…なんか申し訳ない

「…そろそろ帰るか。アッシュはまだ1限あるし」

『うん』

席を立ち上がった途端、ルカのスマホがブブッと震えた
ルカは「んだよ、こんな時に」とスマホの画面を確認するとサァーーーッ！と顔を青くさせた

「あの、エスタナ様」

『？』

「アッシュさんが、帰るのはあと少し待てだそうです」

『…は？』

「…送るって言っておられます」

『…………………帰る!!!!』

「そりゃねぇぜ、ボスーーー!!!」

会計を済ませて足早に大学を後にすれば、後ろからルカが慌てて追いかけてくる
アッシュなんて、あのレオンと一緒にいればいい
私なんか気にしなくてもいい

「なーあー、戻ろうぜ？俺、アッシュに殴られる」

『殴られればいい』

「そりゃねぇぜ…」

とほほ…と嘆くルカを置いて私はアパートに帰った