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13話 突然の時間 ページ38

それは突然だった
みんなで他愛もないおしゃべりをしながらご飯を食べていると、ふと何かの気配を感じた



その気配を感じた方向を見ると、目を見開いた
私そっくりの女の子が立っていたのだ





いや、昔の私が…レオン・クラウンが立っていたのだ









カラン!









「うおっ!」

「エスタナ、どうしたんだ?」









ルカとショーターが眉を寄せてこちらを見ているにもお構いなしに、2人以外の人間が私の視線の先を辿ると、目を見開いて立ち上がっていた









「アッシュ!!!」









私にそっくりな女の子は、アッシュに抱きついた
アッシュ本人は驚き、何があったのか全く分かっていなかった









「お前は…」

「レオン、レオンよ…!」

「…そんな」

「会いたかった…!!」









ギュッと抱きしめ涙を流すレオンと名乗った女の子に、ルカは青ざめた
何かの間違いだと、何かの手違いだと…そう言った









「レオン、なのか?」

「そうだよ、アッシュ」









目の前で再会を果たしたという光景に私は唇を噛んだ
静かに席を立ち、小走りでその場を後にすると「おい、エスタナ!!」とルカの叫び声が聞こえてくる









「エスタナ!待てよ!!」

『放して!』

「馬鹿野郎!! 走るんじゃねぇよ!!」









バタバタと抵抗してもルカは放してくれなかった









「…アイツがお前なわけないだろ!」

『でも!』

「レオン・クラウンはお前だ!! アッシュに近づきたいがために近づいてるに決まってんだろ!!」

『そんなの、わかんないよ…っ』









人の見た目は酷似することだってある
でも、人の考えていることは似ることはない…あの子が、本当にレオンならば






アッシュは、きっと…あの子を選ぶ









『もういやよ…』

「!」

『こんな私、いなくなればいいのに…っ』

「…レオン」









死にたい
愛した人に、最期まで愛した人に、選ばれないかもしれない




アッシュ…お願い、いかないで









「何があったのか知らないけど、キミが泣くなんて何かあったのかい?エスタナ」

「おっ!!? 前は………」

「やあ、久しぶりだね。ルカ・ルイーズ」

「李…月龍」









月龍は「…事情を説明してくれないかい?」と私にハンカチを差し出してきた
私が受け取らずにいると、「…キミは本当に悲しい人だね」とハンカチで目元を拭ってきた

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月28日 17時

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