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10分弱で出てくると、「あら、可愛らしいわね」とナターシャが言う
車に乗り込み、ブランカの待つホテルに向かうと、「アロー」とロビーで待っていたブランカが歩いてくる
『ハーイ、兄さん』
「やあ、エスタナ。久しぶりだね
見ないうちに一段と綺麗になったじゃないか」
『お世辞はいいよ』
こいつが女に甘い言葉を吐くのはわかってることだし、ナターシャ以外に眼中にないのは知ってることだから相手しないことに越したことはない
「どう?大学生活は」
『とても有意義です』
「それはよかったな」
ナターシャには、ストーカーのことは教えていないのだろう「いいわね」とニコニコしながら言っている
いつものナターシャなら、「こんなことがあったって聞いたけど」と言うばかりで、私はいつもタジタジなのだ
しばらく、フランス料理を楽しんだ後ナターシャの車で送ってもらい、自分のアパートに戻った
食べた気がしないので、カップラーメンをひとつだけ食べたのは内密にしてほしい
ー翌日ー
「へえ、フランス料理をねぇ…ロシア料理じゃないんだな」
『ナターシャが食べたかったんだって』
「にしても、あのおっさんもよくやるぜ…。いきなりなんだろ?こっちにいるって言う連絡」
『あぁ…うん』
講義が休みになったことと、ルカの講義がひとつ空いていること利用してそのまま昼ごはんを食べていると、「フランス料理かぁ、食った気にならねえよな」と懐かしむような感じで言う
「俺、高級料理食べる時は絶対カップラーメン食いたくなるんだよな」
『私も。アパート戻ったらすぐ食べた』
「エスタナがカップラーメン?似合わないな」
『そうかな、私だって普通に食べ…』
「ぁーーーーー………………」
引き笑いのような声を上げたルカに、私は『え、なに?』と目を瞬かせると「後ろ、後ろ」と指を刺す
しかも、その顔は真っ青になっていて私もゆっくりと振り向くと英二がいた
「エスタナ、カップラーメン食べるの?」
「ロシアの天使が聞いて呆れるな」
『兄が食べさせてくれないの。家にいても、お腹減るものばっかりだし』
「エスタナ、食細いんじゃないのか?」
『太りたくないだけ』
「あ、そう」
矛盾してるぞ。というルカの視線を無視して私は前を向いた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月28日 17時