ヤマネコが愛したライオン2 (ページ27)

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11話ハロウィンの時間ページ27

『は？』

《今アメリカにいるんだ。これからそっちに行くから、お出迎えをしてくれるかな？子猫ちゃん》

ハロウィンの1週間前
いきなり電話をしてきたと思えば、もう空港にいると言う兄に私は肩を落としながら、『なんで？』とロシア語で聞いてみた

なんでも、ナターシャが会いたいとのことで現在は体調も充分良く私に会うためにチケットまで用意していたらしい

準備万端整ったってことね、OK

《それで、今どこにいるのかな？エスタナ》

『…大学だけど』

《ナターシャが今そっちに向かっているから迎えてくれるかな？》

『わかってて聞いたのか!?』

というか、ナターシャから離れることのなかった兄が送り出すということは、よほどナターシャが丸め込んだと見える

『それで？滞在はどれくらいなの？』

《1週間は考えているよ。ハロウィンパーティーに参加するかい？》

『あぁ…英二に誘われてるのに参加するつもりで…』

《おや、ウサギちゃんにかい？》

『あ、うん…。だから』

《気にすることはないよ、エスタナ。やりたいことを思うがままにしていいんだからね》

『…わかってるよ』

正門へ向かいながら電話をしていると、目の前に黒のセダンが止まった
どうやら、ナターシャの乗る車のようだ

「久しぶりね、ライオンちゃん」

『お久しぶりです、ナターシャ』

「ふふふ、かしこまらないで？」

『でも…』

窓から顔を出すナターシャは、クスクスと笑うと「もう大学は終わりかしら？」と花のような優しい声で聞いてきて、私は小さく頷いた

「なら、今からセルゲイのいるホテルに向かいましょう？
ディナーを一緒にしたいわ」

『もちろん、ご一緒してもいいの？』

「ライオンちゃんと一緒にディナーをしたいわ！
でもその前に、ドレスコードね」

『あー…』

今日は普段着るようなTシャツにジーンズといった昔に着ていたような服装なので、一旦着替えなければならない

「ライオンちゃんのアパートに向かいましょう」

『…じゃあ、お願いします』

後部座席のドアを開けて乗り込み、私のアパートまで車を走らせてもらうと、「着いたわよ、ライオンちゃん」とナターシャが言う

『すぐに着替えてきますね』

「ゆっくりでいいわよ」