ヤマネコが愛したライオン2 (ページ26)

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30分で着いたのは、私が育った孤児院の跡地だった
そしてこの跡地はもともと、英二が撃たれた場所でもあった

『……………………』

更地になったとまでは行かない
草は不恰好に生えて、廃墟になった場所からはチロチロと虫が動いている

ここでシオンと一緒に育った
たった短い期間だけでも、ここは私にとって最高の場所だった

『ごめんね、あんなことになって…』

あんなこと…英二が撃たれたことだ
私とアッシュといるせいで、傷つけたくなかった英二が怪我をした、撃たれた…

『すまない…謝っても許されることじゃないのに…』

ロシア語で懺悔をする
謝っても、許されることではない
だから神様は私にまた試練を与えているのだろう

巻き込んではいけない優しい日本人を巻き込んだ戒めだと

『もう二度と、お前を傷つけることはしない…』

銃も殺し合いなんか、二度とさせない
傷つけさせない、二度と…絶対に

ー2ヶ月後ー

『え…ハロウィン？』

「うん」

お昼にルカと待ち合わせをしていると、英二とショーター、シンに捕まってしまい、学食で食べていると、英二が「ハロウィンパーティーによかったら参加しないかい？」と聞いてきた

『…どうして？』

「え？」

『…私を誘う理由って』

「うーん、キミがきてくれるともっと嬉しくて楽しくなるから、かな…？
というか、キミもきて欲しいっていうのじゃダメかい？」

『……』

「エスタナが来てくれるなら、アッシュも喜びそうだけどな」

「なー」

『…………』

ショーターとシンが頷くと、「どうかな？」と英二が聞いてくる

『みんながいいなら…いい、けど…』

「じゃあ、決まりだね！」

(決まりなんだ…)

はむっ、とオムライスを食べると「何が、決まりなんだ？」と英二に肩を組んだのはアッシュだった
英二は「ハロウィンパーティーのことさ」とニタニタ笑うと、アッシュはニコニコしていた顔をそのままにして真っ青にさせた

「え、英二？」

「ハロウィンってだけで楽しみだよね〜！ジャック・オ・ランタン作るの楽しみだよ！」

「英二、ちょっ」

「楽しみだよ、ハロウィン！」

「英二!?」

(相変わらず、ハロウィンだけは英二が勝つんだ…)