ヤマネコが愛したライオン2 (ページ18)

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レオンside

バタバタと路地裏を駆け抜けて大通りに後一歩というところまできた
ここまで来ればもう大丈夫だ

出ようとしたとき、グイッと後ろに引っ張られた

『ッ!?』

そのまま路地裏の中に連れ戻され、『いやぁ!!!』と激しく抵抗すると、スマホが手から滑り落ちて大通りの方まで転がってしまった

『むぐっ！』

「エナスタシア…なんで、なんで…ッ！」

『んーーーっ！』

昔と違って体術云々すらブランカは教えてくれなかった
それどころか腫れ物や壊物を扱うように大切にしてくれたおかげで、今では前のようにひどいことにはならなかった

安心安全なブランカのそばにいたことが仇となり、今となっては抵抗することは意味がなかった

「なんであんな金髪の男がいいんだッ！」

『んーっ！んんー！』

両手を頭の上で拘束され、足をバタつかせて抵抗するも虚しく、男はずっと狂ったようにこちらを見つめている

空っぽだった

何も宿していないその瞳にゾッとした

ディノやアイツらと同じだった

「エナスタシア…俺を受け入れてくれよ」

嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!

ゆっくりと近づいてくる男に恐怖し、体がまるで鉛のように固まった
カタカタと震える体と、迫り来る男が昔に襲ってきた男たちと重なってさらに恐怖が膨らんだ

嫌だ…誰か………

アッシュ…

「エスタナ!!!!」

『！』

路地裏からプラチナブロンドをキラキラと光に照らしていて、不安と安堵の色を浮かべるグリーンアイ

大好きな人、大切な人

『アッシュ…』

ホッとして、全身の力が抜けて、涙が溢れ出た
アッシュは勢いのついたまま男を殴り飛ばした

「エスタナ！」

『アッシュ…』

男を気絶させたアッシュは、私に駆け寄ると自分が来ていたパーカーを私の肩にかけ、「すまない、遅くなって…！」と力強く抱きしめてくれた

優しい温もりと、彼の匂いが一気に包んでくれた
嬉しくて、怖くて、それでいて安心した

『ゔ…あぁっ…アッシュ…アッシュ!!』