9話 鬼ごっこの時間 ページ17
カフェから全力ダッシュをした
スマホを落としたせいでブランカとの電話は切れてしまった
大通りを抜けた後、そのまま路地裏に入ってくねくねと走って行くも男は追いかけてくる
震える手で、走りながらルカの電話番号をタップした
数回の呼び出し音に『早く…早く！』と焦りながらいると《もしもしー？》とこの状況を知らないルカが答えた
『ルカ！ルカ!!』
《…え、どうした？なんかあったか？》
『助けて、さっきの男に追いかけられて…！』
《は…お前今どこに》
『わかんない、路地に入って…』
《エスタナ、電話切るんじゃねぇぞ!!》
早く、早く…！誰か助けて！
アッシュside
「くそっが!! おい、コーヒー代これで払っといてくれ!!」
バンッと乱雑に置かれた紙幣に目もくれず、ルカはカフェを飛び出した
どう見たって焦ってる、何があったかなんてひとめでわかる
俺と英二は慌ててカフェからルカを追いかけると「いいか、路地から大通りに出ろ!! どの通りに出たかわかったら、すぐに俺に伝えろ！あとは、大声で助けを求めろ！すぐに行くから！」とバイクのヘルメットをかぶりながらバイクのエンジンをかけているルカの腕を掴む
「なにすんだよ!!」
「何があったんだ？」
「いいから放せ!! 時間がねぇんだよ！」
「時間がないってなんで…」
「エスタナが…！」
「エスタナ…!?」
ルカが苦しそうに、焦った顔で言うとルカのスマホから《いやぁ!!!》という大きな声が聞こえてきた
「エスタナ!?」
エスタナの悲鳴が聞こえてきたスマホを引ったくり、「エスタナ！エスタナ!!」と呼びかけるも声は返ってこない
「くそっ！」
ルカのスマホを投げ渡し、俺はその場から全力で走った
あてもない、だけどエスタナを探さないといけないという焦りから俺は駆け出した
エスタナ、無事でいてくれ…！エスタナ！
路地裏だと言っていた
エスタナは体が丈夫じゃない。走ればダメだとジェシカが言っていた
急いで見つけないと大変なことになる
そしてここはニューヨークだ。変態野郎はごまんといる
「エスタナー！」
エスタナ、エスタナ！
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月28日 17時
