8-6 ページ14
「僕は彼女に用があるんだ」
「残念、俺が先約だ」
ポーンとエレベーターのドアが開くと、ルカが私の手を取って素早くエレベーターから降りた
男も追いかけようとしてくるのに対してルカが、蹴飛ばしエレベーターの中に入ったのを確認しドアが閉まる
「エスタナ、駐車場行くぞ！」
『私、走れない』
「俺がおぶってやるから！」
非常階段まで私を抱き上げそのまま階段を爆速で降りたルカは、バンッと乱暴にドアを開けたあと、そのまま駐車場に行き停めていたバイクまで向かってヘルメットを被らせエンジンをかけた
「エナスタシア！」
『ルカ！早く!!』
「しっかりつかまってろ！」
追いついてきた男がこちらに駆け寄ってくるのに対し、エンジンをかけてバイクが走る
「で、アイツなんなの!?」
『ストーカー!!!!』
「へー、ストーカー…………………………んなあああああああああああああああああ!!!?」
しばらくバイクを走らせて、59丁目のアパートの近くまで走ったルカは、急ブレーキをかけて停まり、私に振り返り口をパクパクとさせた
「ストーカーだあ!!?」
『うん…』
「………マジ？」
『マジ…ロシアから』
「嘘…」
驚き、顔をしかめたルカは、「どうすんだよ、自宅バレてんじゃん」と言う
『うん』
「…どうすんだよ」
『どうしよう』
「お前の兄貴に相談できねぇの？」
『できたらいいんだけどなあ…セルゲイ、今はスペインだから』
「はははは…」
バイクから降りて、アパートの隣の喫茶店に入り案内されたテーブルに座る
もちろん、訳を聞くためだ
「ストーカー、ねぇ………いやマジでどうすんだよ」
『あそこのアパートはセキュリティも高いんだけど、住民の人と入るとガバガバだから』
「クソじゃねぇか」
『…引っ越すしかないかなぁ』
「かもな。隣のアパートに住むのはどうだ？」
『やだよ…』
名案だろ？とでも言いたげなルカに否定すると「何が嫌なんだ？」とルカの後ろに現れた人間を見た
そして、声を聞いてサーッと顔を青くするルカは見ものだった
「僕を置いていっちゃうなんて、オネエチャンひどいなあ」
「アレ、アッシュサン」
『…はは』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月28日 17時
