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アッシュside
「英二、エスタナ、あった…」
「あ、アッシュ」
「?英二だけか?エスタナは?」
「それが、帰っちゃって」
エスタナに急を要する連絡が入ったらしい
英二が止める間も無く帰ってしまったらしい
「ついさっきだから追いつくと思う」
「あぁ」
上着と封筒を手に取って俺はエレベーターに飛び乗りアパートの外に出てエスタナのアパートの方向に走って行くと、遠くの方でエスタナがいるのが見えた
「エスタナ〜」
『!』
「悪い、遅くなった」
俺が行くよりも先にバイクに乗って現れたルカが、「んじゃ、行くか」とエスタナにヘルメットを被せた
『ブカブカ…』
「そりゃ、男モンだしな。お前の頭に合ったようなヘルメットはねぇぜ」
『…はあ…で、どこに?』
「そうだな…無難に……」
ルカの後ろに跨ったエスタナは、『とりあえず、ここに行って』とスマホの画面を向けた
ルカは目を通した後「ラジャ」とバイクを走らせた
「…ルカとエスタナ…」
距離が近いとは思っていた
だが、あの距離の近さにはひとつ心当たりがあった
レオンだ
俺は確信を突くために、エスタナとルカの動向を鋭く目を光らせることを決意した
レオンside
「これまた…あの頃と同じような…」
『中は大したことないよ。ほら、行くよ』
「ひぇ…なんか、レベル違いすぎて俺絶対行きたくねえ」
口では言っているものの、私の後を追いかけるルカ
エレベーターのボタンを押して中に乗り込むと、ガンッとエレベーターの扉から大きな音がした
閉まりかけたドアを乱暴な手で押し開けるのは、アッシュでも英二でも誰でもない
その姿を見てヒュッと喉が鳴った
『…………』
「エスタナ?」
乗り込んできた男を見て、ルカの後ろに隠れる
男は私を確認すると「久しぶりだね、エスタナ」と言う
「…誰だよ、アンタ」
「キミこそ」
「俺はこいつの親友だよ」
壁の隅に私を押し付けて男から距離を取らせてくれるルカは、「それより、離れろよ。近いんだよ」と言いながら、動き出すエレベーターのボタンを近くの階に押した
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月28日 17時