ヤマネコの相棒はライオン9 (ページ3)

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タイトルは「夜明け」とつけられていた

穏やかな表情のその姿は、眠っているのか祈っているのか、その横顔を朝陽が優しく照らしている

英二から見たアッシュが、こんなに綺麗な人だなんて…本当に英二は、アッシュを思ってくれている

『…まだある…？』

美しい写真を見て自然と涙が流れているのを指で拭ってもう一つあるパネルを見れば、また驚いた

私だった

『どうして…』

アッシュとは違った構図で撮られていた
いつ撮られたかなんて覚えていない
英二はよくカメラを手にして私たちのことを撮っていたし、英二に撮られるのは好きだった

「綺麗だろ？」

『！』

「本当はキミの写真を飾らないと決めていたんだ…
キミを失ってから僕もアッシュも、本当に生きることが辛かった」

『………英二』

「だけど、ワシントンに行ってキミとアッシュが喧嘩してるのを見て…飾らないとって思った
だって、喧嘩してるキミたちを見るには本当に辛いからね
いつだって仲良しで、僕たちなんかお構いなしにイチャイチャしてたから」

『…………』

「このタイトルはね、「獅子」なんだ
気高く美しい孤独なライオンじゃなく、愛されて大切にされた「獅子」を写したんだ…」

「嫌だった？」と聞いてきた英二に『嬉しいよ…すごく、すごく嬉しい…っ』と涙を流して答えると、「…泣かないでよ」と英二が困った笑みを浮かべる

「レオン、どうかアッシュを許して欲しい
キミが死んだと聞いて、キミの死体を見るまで彼はずっとキミが生きていることを信じていたんだ
死んだとやっと理解した矢先にキミが現れ、自分の元から去ろうとした…気持ちがぐちゃぐちゃになって思ってもないことを言ってしまったんだ…」

『………』

「レオン、アッシュと幸せになって欲しい
僕は、キミとアッシュが笑っている顔が見たいんだ」

『……………』

英二は「だから、仲直りしてくれるかい？」と後ろを振り返った
そこには、アッシュが立っていた

「僕は恋のキューピッドじゃないけど、親友たちの喧嘩を仲直りさせるためなら、恋のキューピッドにでもなんでもなるんだぜ？」

成長のないあの少しへたっぴなウインクだけを残して、英二は部屋から出て行った