ヤマネコの相棒はライオン9 (ページ2)

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50話個展の時間ページ2

英二side

「いつまでそうやってうじうじしてるつもりだい」

ホテルのベットで膝を抱えているアッシュに僕が言ってやるも、彼は何の反応も示さずにずっと膝を抱えている

ため息もこれで何度目だろうか

さっきのことを思い出して僕は「言葉は刃物なんだよ」とアッシュの座るベッドに腰掛ける

「使い方によっては、厄介な凶器になる
もちろん、銃よりも恐ろしい武器になってしまう
心にもないことを言って、一生の友達や愛する人を失うことだってあるんだ…
一度口にしてしまった言葉は二度と取り消すことはできない…
アッシュ、一度すれ違ってしまったらもう二度と戻れないんだよ」

「…………」

「だからこそ、向き合わなければならないんだ
彼女だって、キミが思っていないことを言っているとわかってる
彼女がキミを思って自分が思ってもないことを言っているのもわかってる
大丈夫、仲直りできるさ。キミたちは魂が結びつき合っているんだから」

アッシュが涙に濡れた顔をゆっくりとあげると、「…そうだな」とくしゃりと笑った
そうさ、キミとレオンはいつだって一緒だ

この7年間、ずっとキミ達はお互いを思い合って生きてきたんだろ？

「アッシュ、最終日には個展に来てくれないか？」

「どうして？」

「見せたいものがあるんだ」

「？」

このニューヨークで出会えたことに、感謝して僕からの感謝をキミたちに伝えるよ

レオンside

「おいこら、チケット無駄にするつもりかよ」

『うっさいな…今日行くよ』

仕事が濁流のように流れ込んできたおかげで、英二の個展に行けてなかった
そして、英二の個展が最終日になってしまった

「気をつけろ」

『わかってる』

手を振ってバイクに跨りそのまま英二の個展に向かった
近くにバイクを停めて個展を開催している建物にチケットを渡して中に入った

どれもこれも優しい写真で、英二が撮ったものだとすぐにわかる
まあ、英二の個展だから全部英二のだろうけど

ひとしきり全て見たあと、ギャラリーの1番奥にも目を向けた
そちらにも何かあるらしく、ゆっくりと歩いて足を止めた

『アッシュ………』

窓辺に座って、夜明けを待つ…私の愛した人を写した写真が飾られていた