ヤマネコの相棒はライオン8 (ページ20)

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ブランカの車に乗り込んで私の案内でやってきたのは、マービンの御用達の安ホテル前
車を停めて外に出れば、「いかにもって感じだね」とブランカが言うから、『ここがマービン御用達さ…私と彼はよくここに連れ込まれてる』と淡々と答えた

「…向かいの喫茶店で待ってみようか」

『…………』

ブランカに言われるように喫茶店に入り、向かいの席に座ってブランカはずっとホテルを見ていた
頼んでいたコーヒーが来ても私は飲まずにずっとホテルを見張った

「！」

『出てきた…』

「彼がいないな…」

『…………』

しばらくは、動けないだろうな…

喫茶店で飲み物代を支払った後、ブランカと共に安ホテルに入り、彼のいる部屋番号を聞いた
疑われはしたものの、マービンの知り合いだと言えば、5階の515だと教えてくれた

汚い階段を上り、515の前に立ち止まり、ブランカは部屋をノックした

「アッシュ、そこにいるのかい？」

『…！』

「開いてる…？」

ドアを開けて中に入ると、薄暗い部屋の中でベッドに横たわり、手首には縄のようなものが巻かれてぐったりとしている彼がいた

「アッシュ!?」

「!!? く、来るなっ!!」

大きな声で叫ぶもんだから、彼はガクガクと体を揺らし始めた
ブランカよりも先に動き出し、彼に駆け寄るとヒクッと息をしていなかった

『アッシュ!! アッシュ、呼吸して!!
大きくゆっくり！暴れなくていいから!!』

昔、ワシントンで過呼吸になった子の世話をユージンとしていたことがあった
パニックになればいつも過呼吸になっていて、寝ずに看病したりと大変だった記憶がある

『なにもしない、落ち着いて！私を信じていいから
なんにもしない、傷つけたりなんかしない…信じて…お願い』

ゆっくりと、ゆっくりともたれかかってくるアッシュの体を優しく撫でながら抱きしめると、彼はゆっくりと呼吸をし始めた

『落ち着いていいから…そう、大丈夫だよ
ゆっくり大きく息をして…そう、その調子…大丈夫、上手だよ』

柔らかい金髪をぐしゃりと撫でると、彼は…アッシュはゆっくりと落ち着いた息を始める
ブランカが空気を読んで外に出ていてくれると、落ち着いたアッシュは「見られたくなかった…」と言った