ヤマネコの相棒はライオン8 (ページ11)

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46話過去の時間ページ11

NOside

初めは「彼」と「彼女」だとわからなかった

いや、その言い方は適切ではない

「彼」と「彼女」だということはすぐわかったのだ

かなり背も伸び体つきも逞しくなっていた「彼」と

すっかりと大人の女性の魅力を身につけた「彼女」と

類い稀ない美貌も人を惹きつける緑色の瞳と空色の瞳も、当時の面影そのままだった

それでもなお、これはよく似た他人だと言う印象を捨てきれなかった

なぜなら私の知る「彼」と「彼女」は、こんなに表情の豊かな少年少女ではなかったからだ

めったに笑わず、美しいが無表情の硬い鎧に覆われた“ライオンの子供”のような「彼」と「彼女」

目の前の無防備で微笑む「彼」と「彼女」だとは、いまひとつ納得できなかった

だが、一瞬

「彼女」は私の気配に気づいた

そしてその表情はガラリと変わった

空色の瞳が閃光を放ち、全神経が私の気配に集中する

彼女のオーラが炎のように輝き始めるのがわかった

そして「彼女」は、「彼」と友人らしいアジアの少年を守るように身構えた

これはまぎれもなく「彼女」だ

あの“ライオンの子供”の、成長した姿なのだ

ー5年前ー

『んっ………』

日差しが漏れる中、庭のテラスで休憩をしていたら相変わらずしつこくつきまとってくるヤマネコがいた
彼は私が休んでいるのにも構わず隣に座っている

『……何の用？』

「別に？」

目すら合わせない彼に私は背を向けていると、数学の教師がやってきた
私はじっと見つめていると男がゆっくりとこちらに歩いてきた

あ、だめだ

そう悟った時、私は逃げようとした
彼はなにがあったのかわかっておらず、こちらをじっと見つめるばかりで私は早くここから逃げ出さないといけないと脳内で警報を鳴らした

テラスから逃げようとすると、手首を掴まれてクッションのある場所に放り込まれた
ボフンという音と上から影が刺してきた

「レオン!!!」

彼が私の名前を叫び、私に覆い被さる男を引き離そうとするも、非力な彼はそのまま吹き飛ばされる

服を破られそうになりながらもなんとか抵抗していると、「離れろよ!!」と彼が男の頭を殴りつけ吹き飛ばした

男は彼の凄みに怯えて逃げて行ってしまう
私は呆然と見ていると「これ着ろよ」とダボっとしたパーカーを投げてきた