もう1人の正統継承者【男主】 (ページ10)

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1話 5年後ページ10

『…』

朝の8時半、仕事場である烏森学園の正門前に立ち、俺はボーッと見上げた後その敷地に足を踏み入れた

中等部の方の職員室に向かい、『おはようございます』と挨拶をすれば「おはようございます」と教頭と校長が現れた

俺が今日からこの学校に赴任したので、その挨拶だ
2、3回話した後高等部の方にも挨拶をしておいた
なぜか俺は中等部と高等部の授業を受け持つことになっていた

…めんどくせ

「今日は全校集会なので、自己紹介をしてもらっても構いませんか？」

『あぁ……はい』

…めんどくせ〜

良守side

ふあっ…とでかい欠伸をして体育館に向かい、中等部と高等部の全校集会のために自分のクラスに並んでいる

どうやら新任の教師がついたらしく、その紹介だそうだ
中等部と高等部の受け持ちだから顔見せのためだろう

「なあ、墨村。新任教師の顔知ってるか？」

「知らねェよ…田端は知ってんのか？」

「知ってるも何も、廊下で見かけたぜ？
モデル体型のイケメン」

「なに!?」

「しかも高身長、気怠げで危ない感じの男だったぜ？」

田端から聞いた人物像で勝手に想像していると、「では、お願いします」という教頭の声が聞こえてきて壇上を見上げると、俺は「は!?」と声を上げた

俺とは違ったサラサラな髪の毛、気怠げで伏せがちな瞳、食っても食っても太ることを知らない体つき、俺とは違った雰囲気の

(兄ちゃん!!?)

俺が驚きのあまり口を開けたままいると、俺に気づいたのか目を瞬かせた後、昔のような優しい笑顔を向けてきた

それが女子の心に刺さったのか「きゃー！」と言う黄色い声に変わっていく
兄ちゃんは、時音以外の女の子達があまり得意じゃない

だから、そんな声を聞いて『うげぇ…ッ』と舌を出して嫌そうな顔をしている
でも、なんで…20歳の兄ちゃんがなんで今戻ってきたんだ？

全校集会が終わり、ぞろぞろと戻っていく生徒をかき分けて俺は兄ちゃんを呼び止めた
もちろん、時音もだ

「帰ってくるなら式神飛ばせよ!!」

『あ？あー……悪い、今朝着いた』

「ならせめて近くに来たことを知らせろーッ」

『…あー……悪い…』

「守真くん、教員免許なんて持ってたの？」

『あ？あー……向こうで取ったのと帰国する前に取った』

「この天才野郎ッ」