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「兄ちゃん!? 兄ちゃん!!」
『うるせぇよ…大丈夫だ…ッ
じいちゃんに、伝えてきてくれ…歩けそうにねぇ…』
「う、うん!」
お隣さんだから助けを呼びに行くのにそう時間はかからない
すぐに出てきたじいちゃんを見た後、俺はズルズルと地面に倒れそのまま意識を手放した
その後、1週間は寝込んでしまった俺のそばでずっと良守がいたらしい
目を覚まして良守の顔を見れば、泣き出しそうな顔で不安げな顔だった
自分のせいだという良守に、『お前のせいじゃないよ』と優しく撫で回した
俺と同じく妖の毒気にやられた時音は、俺よりも1日早く回復したらしい
『ってぇ…クソォ…』
傷は治ったものの、不快感はまだ残る
包帯を巻いている体を労ることなく外で空気を吸っていると「守真くん」と上から声が聞こえた
『時音か。怪我はどうだ?』
「もうなんともないよ…守真くんは?」
『俺もなんともねぇよ』
申し訳ないという顔になっている時音に『お前のせいじゃねぇよ』というと、驚いたように目を大きく見開いていた
『謝るのは俺の方だ…悪いな、ちゃんと守ってやれなくて』
「そんなことッ」
『傷…女の子なのにな…じいちゃんにこっぴどく叱られたよ』
「守真くんは悪くないよ」
『俺のせいだよ。あの場じゃ俺が1番の責任者だからな。だから、俺のせい』
タオルで顔を拭いていると、「守真くんは、あの場所怖い?」と聞いてきた時音に、『怖いと思ったことは一度もねぇよ』と答えた
『けど、お前らが傷つくのが怖いからな…あんな場所、さっさと消えちまえばいい』
「そんな言い方」
『事実だ』
まだ小学生の2人があの場所で戦うことなんてない
んなこと、じいちゃんとばあさんにさせりゃいいものを…なんだってこんなことに…
死んでからじゃ意味がないだろ
『ほら、病み上がりはまだ寝といた方がいいぞ』
「守真くんだって病み上がりだよ?」
『俺はお前らより回復が早いんだよ。わかったらさっさと休め』
シッシッと手で追い払うと「はーい」と言って自分の家に戻っていった時音を見送る
道着の上だけを脱いでいると、「守真くん」とまた別の声がかけられた
今日は声をかけられる日か
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月18日 11時