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下駄箱の近くの壁で生徒たちを見送る。途中で「先生さよならー」と女子や男子が声をかけてくるのに『おー』と答えておく
「いやでも、今度のは男子生徒が6人」
『わーった、わーったから…』
たかが貧血か何かで倒れたのを集団失神だのなんだの言ってられるなんて、中学生ってのは本当に気楽でいいな
俺は今、この烏森のことで頭がいっぱいな上に、明日の授業について考えなければならないというのに
『とにかく、さっさと帰れよ』
「あ…」
ひとつあくびをしながら、俺は『気をつけて帰れ〜』と一言だけ残して職員室に重い足を向けた
「墨村先生って、付き合い悪くね?何考えてるかよくわかんないし、イケメンすぎるが故に腹が立つ」
「いや、割とシンプルでいい先生じゃないか?あと、イケメンっていうのは、お前の単なる文句だろ?」
ーーーーー
ーーー
ー
『…………』
ビュオオオと風が強く吹き抜ける中、上空に結界を張りその上に立って烏森を見下ろす
仕事着に着替えてはいるものの、もう少し動きやすいものにして欲しいと俺は切に思う
(不穏な気配がするな…)
フーッとタバコの煙を吐き出しながら見ていると、ブワと何かを感じ取った
眉をピクリと動かした後、下へと続く結界をいくつも張り、そのまま飛び降りていく
今の感じだと、侵入でもなんでもない
変化にしても2、3段階すっ飛ばしたような力の上昇の仕方だ。まるで、敷地内に突然現れたような感じだな…
『だとしても、どうってことはねぇけど』
窓を開けて中に入り待っていると、「守真くん!」という時音の声とバタバタと言う足音が廊下に響く。夜だし人気もないからよく響く
『お前らはもうちょっと静かに行動できないのか?』
「「う…」」
『だから、すぐに見つかるんだよ』
「「!」」
コツン、と靴の踵を鳴らす音が後ろから聞こえてきて俺が振り返れば、3体の蛇がふわふわと浮かびながら男の体の周りにいる
「三能先生」
「なんだこいつ!?」
『やっぱりな…』
「え…?」
『集団失神事件の犯人、あんただろ?何が目的だ?』
俺が指を立てて構えると、「あぁ…」と三能先生は首の後ろに手を持っていくと少し眉を寄せていた
「養分になるかと思ったんだけど…無駄だったな。人間はだめだ」
『…なるほどな。タチが悪い奴だ』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月18日 11時