もう1人の正統継承者【男主】 (ページ12)

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ー墨村家ー

「お帰り〜!! 守真！」

「シュウ兄お帰りなさい！」

『おー…ただいま、父さん、利守』

やっと我が家に戻ってくると、父さんと利守が出迎えてくれた
今までの荷物全部を持ちながら家に入ると、「荷物送ってくれたらよかったのに」と父さんが眉を下げているのに対し、『そんな迷惑かけらんねぇよ』と返した

服などは帰国する前に全部洗濯したからそのままタンスに入れておけばいいし、特に何か必要なものもいらないものも何もないから自分の部屋に向かった

静かに襖を開けると、毎日父さんが掃除してくれていたのか、埃なんてひとつもなかった

「シュウ兄、おじいちゃんが呼んでるよ」

『あぁ』

ボストンバックを部屋の端に置いて襖を閉めてじいちゃんの部屋に向かい、襖をゆっくりと開けた

『ただいま帰りました、おじいさん』

「うむ、留学はどうじゃった」

『いい勉強になったよ。すごく楽しかったよ』

「それならばよい。これからは勉学だけに限らず、家業の方にも邁進しなさい」

『わかってます』

深々と頭を下げた後、『部屋で休みます』と言い残して、俺はじいちゃんの部屋を後にした
自分の部屋に入り、荷物の整理をしてバッグをしまった後、俺は特に何もすることがなく外に出た

散歩とまではいかず、本当に家の裏手に回ってポケットからタバコを一本取り出して火をつけた

「おや、守真くん」

『！』

「帰ったんですか」

『…お久しぶりです、おばあさん』

携帯用の灰皿にまだ火をつけて間もないタバコを入れてポケットにしまい込むと、「お久しぶりです」と簡単な挨拶を返された

「留学でしたか？」

『はい、おかげで勉学に邁進できました』

「それは何よりです。家業の方には？」

『戻ります。よろしくお願いします』

「…こちらこそ」

丁寧に挨拶をしていると、「守真〜」と父さんが俺を探している声が聞こえてきた
俺はおばあさんに断りを入れて中に入ると、「あ、守真」と父さんが駆け寄ってくる

「今日、何が食べたい？」

『そうだな…。父さんが作ってくれたものならなんでもいいぜ』

「またそうやって〜。でもわかったよ、とびきり美味しいご飯を用意しよう！」

『そりゃ楽しみだ。あ、それなら良守と利守の好物も頼むよ』