24-2 ページ36
アッシュは思っていたことを飲み込み、英二が言ったことを信じたのか、「いや、きっとそうだったんだろう」と言う
そんな穏やかな表情にホッとしたのも束の間、突き刺すような殺気を感じて勢いよく振り向いた
「どうしたの？」
「……」
『…………………』
殺気の気配はどこにもなく、怪しい人間はどこにも見当たらない
「どうしたの？」
「……やっぱり引き返そう」
「えぇっ!? ロングアイランドに行くんだろ？」
「気が変わったんだ」
「なんだよもう、気まぐれなんだからなぁ」
『……………』
「レオン？」
『…いや、なんでもない』
あの殺気、視線、気配、どこかで感じたようでないような気がする
どこだ、どこで感じた？
結局あのあとは、フェリーを降りて図書館前まで戻ってくるとアッシュがマックスに電話をしていた
正門の前で英二とアッシュの話が終わるのを待ちながら、辺りを警戒する
アッシュの電話が終わって、ロングアイランド行きから図書館での調べ物に予定変更になった
アッシュがパソコンで調べ物をしながら、私と英二は頼まれた本を手に取ってアッシュのところに持っていく役目を担わされた
「あー重い！」
『ふぅ…。ねえ、アッシュ…まさかこれを今日中に読もうって言うんじゃないわよね？』
「そのつもりさ」
「冗談だろ!? 夜が明けちまうよ！」
机に本を置いてへばった私と英二に、「退屈なら小遣いやるから、漫画でも買ってくれば？」と紙幣を渡してくる
小馬鹿にしたような言い方に英二は、乱暴に紙幣を手に取ると「ああ、ついでにホットドッグかってこようっと！」とズンズンと歩いていく
「あ、俺も頼むよ。マスタードたっぷりね、オニイチャン」
「べーーっ」
やれやれ…と肩を落としながら英二の後を小走りになって追いかける
「納豆ホットドッグとかあるかな」
『英二、それはさすがに…』
鬼だ…と頬をひくつかせていると、「おい！」とアッシュが上着を羽織りながら駆け寄ってきた
「俺も一緒に行く」
3人で外に出て移動販売の屋台でホットドッグを買い、階段に腰掛けて食べていく
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月14日 11時
