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「ずっとアレックスたちと一緒だったのか？」
「………うん、そうだよ」
煮え切らない言い方をした英二は、揚げ物を口の中に放り込み、目を泳がせた
アッシュの隣に座って酒を飲んでいる私は、英二がどこでどう過ごしていたのかは知っている
「ほんとに？」
「う…ん、シンとルカと一緒だったことも、あるかな…」
「よく出られたな、ブタ箱から」
「ん？んー…まあね」
私の隣でジュースを飲むアッシュに英二はムスっと見つめる
私はその視線から逃れるように空中に目を泳がせて酒を飲むフリをする
「知ってんだろ、ほんとは。人が悪いよ」
「月龍だな。なぜそのことを言わない？」
「……別に、意味なんか…」
口籠もった英二に私は眉を下げて苦笑いした
言いにくいことだってあるだろう、本当にコイツは…アッシュをジロリと見た後、アッシュと英二が作った手巻き寿司を口に運んだ
「よくお前を無事に帰したな
あいつの考えてることはよくわからない…敵なのかそうじゃないのか…」
頬杖をつくようにして前髪をかき上げたアッシュが、独り言のように呟くのを聞いて私は静かに酒缶を置いた
月龍が英二を無事に帰したこと自体に疑問でもある上に、あいつの立ち位置がよくわからない
味方なのか、敵なのか、そうでないのか…はたまた中立を保っているのか…
もどかしいことに変わりがないのが苛立ちを募らせていく
「どうした？」
「あ…ちょっと飲み物、とってくるよ」
キッチンへ向かった英二を見た後、自分が飲んでいた酒缶を指の腹で撫でた
嫌な予感がする…アッシュと英二を失いそうな…嫌な予感が…
「レオン？」
『！』
「大丈夫か？顔色が悪いけど…」
『あ、あぁ…平気。ちょっと疲れただけ』
酒を飲み、コトンと空になった缶を握る
月龍やディノがこのニューヨークにいる以上、気は抜けないし、隙を見せてはいけない…
アッシュと英二を守るんだ…
せっかく笑うようになってくれた、英二と出会って幸せだと感じてくれるようになったアッシュを、守らないといけない
『英二、私先に休むね。ごちそうさま…』
「あ、うん」
そのためなら、私は鬼にだってなってやる
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月14日 11時
