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「もう…少しだ」
じいさんの左手を掴もうとしたその瞬間、エレベーターが上昇し始めた
慌てたじいさんが、俺の足首を掴み、その勢いで尻餅をついて引っ張られ、俺まで滑り落ちる
なんとか屋根の縁につかまる
「うっ！ぐっ……」
じいさんと自分の体重に耐える形になる
くそ…まじでついてねぇ…！
上昇したエレベーターがやがて止まり、動き出す気配がないのを感じてそのまま息を吐いて落ち着くようにする
「…暴れるなよ、じいさん」
じいさんがつかんでいる足を手の届く高さまであげたあと、すぐにじいさんの手を掴み、力の限り持ち上げた
「…ふッ！」
レオンだってこんな…っ、重くねぇぞ…!?
なんとかじいさんを引き上げ、少し出っ張っている場所に指をかけさせ、先に自分が登ってじいさんを引き上げる
「はあ、はあ、はあ……くそ」
ここから逃げたら、絶対、レオンに、俺の話聞かせてやる…ッ
そんな決意を固めて俺はしばらく酸素を吸うのに勤しんだ
なんとか息を整えて体力もある程度戻ったあと、じいさんに動かないように指示を出した後、天井の蓋をそっと開けて中を確認すると、やる気のない警備員と気絶している警備員がいた
ゆっくりと降りるようにしていると、こちらに気づいたのか警備員は振り返り目を見開いていた
そんな警備員に、足を下ろし警備員に飛び蹴りをしてそのまま壁に激突させる
扉を閉めるボタンを押してみるも、まるで反応がない
エレベーターはもう使えない、なら別の逃走経路を確保するしかない
(たしかこの階は…)
メイン・ダストシュートのダクトがあったはず…
ぐったりとしているじいさんを背負いながら、俺は少しずつ歩いていく
「重てェ……なんでこんなジジイと……
最近、俺はツイてねぇ…」
そうぼやきながら、なんとか掃除用具室までくると、ダストシュートを探し、思い鉄の蓋を開けた
下まで見て、果てしない道のりなのを実感し、「骨が折れるぜ」とこぼした
じいさんを布で縛って背負い込み、ゆっくりとダストシュートの梯子を降りていく
なんだってこんなところを降りなきゃいけないんだという思いをなんとか堪えながら降りていくと、上から音がした
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月14日 11時
